更新日:2021年12月17日

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公立置賜総合病院 久保田洋子 先生

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※所属・職名等は、インタビュー当時(平成28年)の情報を掲載しています。

3.久保田 洋子 先生(公立置賜総合病院 副院長)

久保田先生1

リンク:公立置賜総合病院のホームページ

 久保田 洋子 先生のプロフィール
 昭和54年 山形大学医学部卒業
 山形大学医学部助教授
 公立置賜総合病院副院長
 日時
 平成25年3月28日(木曜日)午後4時~5時
 場所
 公立置賜総合病院 応接室
 インタビュアー
 置賜保健所長 山田敬子

出身地と置賜総合病院に赴任しての感想は?

 

山田

先生のご出身は山形ではなかったですよね。 

 

久保田

出身は東京都です。東京都の文京区で、山手線の中側という所で、比較的都心の場所ですね。こちらに来た経緯というのは、高校まで東京で過ごしまして、大学が山形大学で、卒業して山形大学にそのまま残ったという状況です。ずっと山形大学に、卒業したんだか、学生続けているんだかみたいな状況で10年近くいました。途中4年目くらいの時に河北病院に半年一人医長で赴任しました。その後、また大学にずっといて、12年目の時に篠田総合病院に出まして、そこに1年半くらいいた後、また大学にずっといまして、12年前に置賜総合病院に就職させていただきました。

 

山田

開院からということですね。

 

久保田

いや、開院からではないです。開院の時は恩村先生がいらしたんです。恩村先生は透析が得意な先生で、南陽病院で透析の先生が必要だということでそちらに行かれて、私がこちらに来ました。こちらで12年働いていますので、だいぶ長くなりました。

 

山田

先生は大学に長くいらしたわけですけれども、こちらに来てみて何か働き易いところとか、違いで意識されるところがあればいかがでしょうか。

 

久保田

そうですね、大学の時はとにかく山形市ということで開業の先生もたくさんいらして、どこの地区のあたりにどの先生がいらっしゃるとか、年配の先生なのか、お若い先生なのかもほとんど分からないで紹介していただいたり、逆紹介したりしていました。ここだと連携先の先生というので、病院のホールに写真も出させていただいていますが、人数が少ないので(笑)、写真を並べても何面かで済んでしまうくらいなんです。大体どの程度の年齢の先生で、どの地域を担当されているかも分かるので、この方をお戻ししていいのか、ここで引き続き診なくちゃならないとか、そういう事に関しては助かっている面もあります。

 

山田

顔の見える関係というのは、連携の上ですごく大事ですよね。

 

久保田

はい、そうですね。過疎の、開業の先生がほとんどいらっしゃらないとか、そういう地区もこの病院、この地区の中に入っています。家の近くで終末期を迎えたいんだけれども、ちょっと看取ってもらえるような状況じゃないというようなことで、自宅での終末を望んでいる方でも入院しなくちゃならないという方が、今まで何例かありました。そこら辺は、人数が少ないのが良いところもあるけれども、地域によっては大変なところもあります。

 

山田

置賜の地域の住民との関わりでは、先生どうですか。今はお医者さんとの話しでしたけれども。

 

久保田

そうですね、朴とつな方が多いのかなとは思うんですけれども、意外に、あまり医学的な知識がないので、ちょっと右往左往しているような、どうしていいか分からないという方もいて、ここら辺の地域性なのかなという気がします。

 

山田

情報の集め方とか、その辺を知らなくてですね。

 

久保田

あと、おじいちゃん、おばあちゃんだけで、若いものがいなくて、そういう方が多いですね。ここの地域で働きたい先生方は世話焼きじゃないと・・・、嫌がらないで世話を焼ける方々が適しているかなと思います。むしろ、若いものが出てきて、ああでもない、こうでもない、と言われることは多くないから、そっちは良い点です。その代わり、最後まで一生懸命おじいちゃん、おばあちゃんの世話を焼いてあげないとならないというので、それがうっとうしい人は向かないかも知れないですね。

 

山田

ワーワーあんまり患者、家族には言われないけれど、家族の代わりになって世話を焼いてあげないと・・・ということですね。

 

久保田

そうですね、だから看取りが出来るのか出来ないのか。おじいちゃんが亡くなりそうなんだけれども、おばあちゃんが付いている。このおばあちゃんで大丈夫なのかなというところまで、全部、そのおばあちゃんの状況も診てあげなくちゃいけない。

 

山田

家族ぐるみでね。結局、ここ急性期病院ですけど地域の病院なので、地域の住民にすれば地元のかかりつけ医なんですよね。だから家族ぐるみで皆んな診てね、みたいになっちゃうんですね。

 

久保田

開業の先生の層があんまり厚くないというか、あんまりいらっしゃらない。だから、急性期病院なんだけれども、かかりつけ医の役割もある程度担い、慢性期みたいのにもちょっと関わりみたいな、総合的みたいな感じです。

 

女性医師としてのワークライフバランスについて

 

山田

わかりました。いろいろ大変かなと思うんですが、先生に是非お伺いしたかったのは、女性であって、なおかつ外科医でいらっしゃるということで、ワークライフバランスですよね。お子様も、先生、何人か育てていらっしゃるんですよね。

久保田先生2

 

久保田

子供は2人で、もう独立しましたけれども。やっぱり、仕事が好きだったので、仕事と子育てだけで、あんまり他に趣味もなく、家事よりは子育てだけみたいな形できました。

    けれども、自分としてはバランスが悪かったとか、もうちょっと家で過ごせたらな、というようなことは無かったですね。外科系なんですけれども、むしろ内科の先生より、泌尿器科という科はあんまり夜中に急な手術、緊急手術とかがある科じゃないんです、以外に。で、心筋梗塞で来た時に心臓カテーテルやらなくちゃならないとか、そういう緊急措置が内科系でも結構あるし、産婦人科だとお産もあるし、緊急手術もある。

 

山田

同じ外科系でも実は狙い目というか、女性にとってはですね。

 

久保田

 

期せずして泌尿器科を選んだんですけれども、後で考えてみると、夜こんなに呼ばれない科というのは、あんまり多くなかったのかなと思います。

 

山田

そうですね。今でこそ前立腺がんとか膀胱がんとか高齢で増えていますけれども。看取りもそうは多くないですよね。

 

久保田

でも、看取りもね、前立腺がんでは立ち木が枯れていくように、ゆっくりゆっくりゆっくり、もう倒れるぞ倒れるぞと思って、キキキキッ ドッテンみたいな形なので、もうゆっくりとしたがんなので。急に亡くなるというのがないので、計画性が立てられるから、内科よりも外科よりも、とにかく子育てには良い科を選んだんだなと、後で考えてみると思いますね。

 

山田

それは良かったですね・・・。いや~、私の専門である呼吸器はもう本当に緊急で呼ばれますから、大きい病院にいれば。重症肺炎はもちろん、喘息の重積発作で意識を無くした、喀血しました、とか結構大変でしたね、そういう点では。また、肺がんは現在男性のがん死亡第1位ですから、看取りも16年前で既に年間25人位で、常に亡くなりそうな方を抱えていました。

 

久保田

消化器科も結構大変みたいですよね、高齢者の脱水だの何だのも来ますし。

 

山田

消化器はただ、色んな検査がある分、メンバーも多いんですけど、呼吸器って結構少ないんですよねメンバーが。でも、そういうのって事前に分かんないですよね。

 

久保田

そうなんです。学生の頃は分からないので。実際やってみないと分からないのかな~っていうのがあります。あとはですね、私の生活の中心は『子育てと仕事』と考えていたので、でも、汚い家で子供と皆んなといるっていうのも嫌だなと思っていました。それで、本当に子供が小さい時はお掃除とかお洗濯とか、家事をして下さる方を週に3回頼んで、子供は無認可保育に預けていたので、自分の働いた分は全部、殆んど出ていきました。でも、比較的清潔な所に住めたし、子供も遅くまで預けてても暖かい夕ご御飯を食べさせてもらって、眠くなったら横になりながら待っていられたので。


貯金は少なくなっちゃったけれども、自分と子供のワークライフバランスには良かったのかなと思います。それで、比較的自分が思う存分働けたとは思っています。それ、ちょっと良かったかなと、振り返ってみて自分で良い計画だったかなと考えています。

 

山田

そうですね、続けるって大事ですよね、本当に、私はそう思うんですけどね。

 

久保田

子育てとか出産で長く休んだ女性医師向けに、いろいろな支援のプログラムが走っていて全国的にもかなり進んでいるようですけど。でも、やっぱりそういう方法が準備されるということは、逆に復帰が難しいという反面を示していると思うんです。だから、出来れば細々でも続けていくことが大切ですよね。

 

山田

私が思うのは、医師も技術者じゃないですか、ある意味でね。だから、技術って、やっぱり手を休めちゃうとなかなか伸びないし、後退すると思うんです。どんな形であれ、続けていることが大事なのかなと、今自分の位置で思うんですけど。

 

久保田

あと、外科系だというのもあるのかも知れませんけれども、年代順で体育会系みたいに、先輩には下の者があんまり怒れないとかいうのがあるんです。1,2年休んじゃったりすると、下の者がいろいろ出来るようになって上下関係が難しくなっちゃって、下の者は上の者に教えるのを極端に嫌がりますね。へまな事をやった時に「ほら」と言うのが言いにくいから、へまな事をされても困るし、きっと教えにくいというのがあると思うんです。外科系の者はやっぱり、細々でも続けるのが大事だと思うんです。

 

山田

内科系でもそうかも知れません。やっぱり、微妙な年代を意識するので。あんまりブランクがあって、自分よりも年上だったら言えないと思うし、年上の人が変な事をやっている時にまさかストレートには言えないし。外科は逆に、言わないと危ないところがあるかも知れませんけど。言えないから、逆に任せらんなくなって干されちゃう。楽な患者ばっかり持たされて、技術が伸びない。外科も内科も同じだと思う。

 

久保田

そうなんですか。休むっていうことが、意外に辛いんですね。だから、休んだ女医さんがうまく戻れるようにと皆んなが、いろいろ、こうやったらいいんじゃないか、ああやったらいいんじゃないかと工夫しているんですよね。

 

山田

それより、休ませないということですね。産休は当然ですけどね。

 

 

趣味やストレス解消法について

 
山田
次に、趣味とかストレス解消法はいかがですか。美味しい物食べるとか、そういうのでもいいですけど。
 

久保田

私、ほとんど食はこだわらないんですよ。だから、美味しい物食べるのも好きじゃないんですよ。趣味が、本当に何も無いんです。
 
山田
でも先生、とてもお洒落ですよね。先輩として参考になります。
 

久保田

学会などに行く時に、少し、しゃきっとして見えないと、外科系なんで、女らしい感じで行くと馬鹿にされちゃうんじゃないかと思うんです。なるべく、しゃっきり見えるようにとしています。
 
山田
趣味は本当に無いですか?私、昔、趣味は仕事ですって答えてましたけど。
 

久保田

そうですよね。仕事と子育てで来ちゃって、今、定年間近になって、仕事が無くなったらどうなるかな、なんておじさんみたいなこと考えています。
 
山田
無くなんないですよ、先生。引く手あまたですから、大丈夫です。突然、でもやりたい事が出てくるかも知れませんよ。
 

久保田

そうですね、今は孫の面倒を見ているんですよ。娘が看護師で働いているので。看護師さんて朝は早く出ていくので、私が孫を出してから出勤しています。あと、うちの主人は娘が遅くなる日は、私が帰るのが20時ごろなので、早めに帰って孫の面倒を見ています。だから、趣味は仕事と子育てかな?この頃は、仕事と孫育てをやっているんです。だから、きっと趣味は、人間を育てることなのかも知れません。
 
山田
それは、とっても良い趣味だと思います。

 

置賜で働こうと思っている方々へのメッセージを

 
山田
最後に、置賜でこれから医師、看護師として働こうかなと思っている卵さん達に、何かメッセージがあれば、いただきたいんですが。
 

久保田

今、この地区で医師と看護師さんがかなり不足しています。本当に、来ていただくのを皆んな待っているので、そういう意味では売り手市場にあります。それで、とにかく来ていただければ、思い切り働けると思います。たくさんいる中の1人で、自分がその中で揉まれてどうだろうとか、そういうのじゃなくて、もう、どんどん伸びてもらわなくちゃならない。医者も看護師さんも、とにかく皆んなで総力を挙げて、育っていただきたいということで頑張っています。私たちは、より大きく花開いて欲しいと思っているので、本気で育てますから。
 
山田
孫だけじゃなく、若手もウエルカムで、先生が目いっぱい愛情を注いで育ててくださるんですね。
 

久保田

ただ、何で医者も看護師さんも少ないかというと、やっぱり田舎だというのもあるのかなというのはあります。だから、田舎でも、田舎が好きで伸び伸びと育ちたい人達には本当にお勧めだと思います。
 
山田
本当に伸び伸び出来ると思いますね~。
 

久保田

皆んなで何とか育てたくてね、保健所さんも力砕いてくださっていますし、私達も一生懸命やろうと思っています。
 
山田
他の先生ともお話ししているんですけど、やっぱりスタッフが一人一人頑張ってくれないと、皆んな大変じゃないですか。だから、皆んな勉強していて、特にコメディカルの人達ですけど、凄くレベルが高いかなと私は思うんですよ。
 

久保田

ここは本当に皆んな、専門性を生かそうという気持ちが強いですね。
 
山田
あと、消防の人達も一緒になって救急医療を何とかしていこう、とか、そういう関係者が一緒になってやろうという動きが、人が少なくて大変な分、結束しているなという感じがするんですけど。
 

久保田

人数が多いところだと、凄く頑張らないと一人として見えてこないけど、ここでは一人一人が全部見えてくる。一人一人が本当に金の卵として、重要な役割を担ってもらえるようになってもらいたいですね。
 
山田
そうですよね、よく分かります。先生、長時間にわたりお話いただき誠にありがとうございました。

  

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