更新日:2020年10月12日

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9月定例会(令和2年9月18日)

 県議会9月定例会の開会に当たり、提案いたしました議案の説明に先立ち、一言申し上げます。

はじめに「山形ラ・フランス」の地理的表示(GI)保護制度への登録について申し上げます。

 JAグループ山形や県内の卸売市場、生産・出荷団体、県等で構成された山形県「ラ・フランス」振興協議会では、これまで、県産ラ・フランスのブランド力と販売力の強化を目指し、オール山形で取り組んでまいりました。その取組みの一環として、関係者の総意のもと、平成30年11月に「山形ラ・フランス」のGI登録を農林水産省に申請しておりましたが、8月19日に登録となったところです。
 県全域を対象とした農産物のGI登録は、全国的にも稀な取組みであり、今回のGI登録は、国内にとどまらず海外にも、「山形ラ・フランス」の名称とその品質の高さを広く知っていただく絶好の機会となります。この秋からGIマークを付した「山形ラ・フランス」の出荷が始まりますので、関係者一丸となってPRの強化と販路拡大に取り組んでまいります。

 

 次に、経済の動向、農作物の生育状況並びに当面の県政課題について、順次、御説明申し上げます。

【経済の動向】

はじめに、経済の動向について申し上げます。

 我が国の経済につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にありますが、個人消費や輸出、生産については持ち直しの動きがみられます。

 本県経済についてみますと、個人消費は、食料品や家電などを中心に持ち直しの動きがみられるものの、感染症の影響により、宿泊・旅行業、飲食業、旅客運送業などのサービス業で売上の大幅な減少が続くなど、厳しい状況が続いております。また、鉱工業生産は生産活動の縮小により減少し、雇用情勢についても有効求人倍率の低下など弱い動きが続いているなど、全体として、一部に持ち直しの兆しがみられるものの、依然、厳しい状況にあります。

 先行きにつきましては、感染拡大の防止策を講じつつ社会経済活動のレベルが引き上げられていく中で、持ち直しの動きが続くことが期待されますが、感染症が経済に与える影響に十分注意しながら、感染拡大防止と社会経済活動の両立にしっかりと道筋をつけていくことが重要と考えております。

【農作物の生育状況】

次に、農作物の生育状況について申し上げます。

 県内では、6月末からの長雨と日照不足により、一部のほ場で大豆の生育不良や水稲のいもち病の発生などがみられました。さらに、7月末の豪雨により農作物に甚大な被害があったため、県では、関係機関・団体と連携して生育や被害状況を把握するとともに、技術指導の徹底により収量・品質の確保に努めてきております。また、水稲の被害程度に応じた刈取りや果樹の樹勢回復に向けた細やかな対応を呼びかけているところです。

 現在、水稲につきましては、県内各地で刈取りの時期を迎えており、今年も高品質と良食味(りょうしょくみ)を確保するため、適期内の刈取りと適正な乾燥調製を徹底してまいります。

 果樹につきましては、まもなく収穫盛期を迎えるぶどう「シャインマスカット」やりんご「秋陽」、西洋なし「メロウリッチ」など、順調に生育しております。
 また、えだまめ、ねぎなどの野菜につきましては、長雨の影響により生育が一時停滞しましたが、現在は順調に収穫が進んでおり、りんどう、きく等の花きにつきましても、秋彼岸の需要期に向けた出荷が順調に行われています。
 実りの秋を迎え、今後とも農作物の生育状況の的確な把握に努めながら、適切な栽培管理が行われるよう、引き続き、技術指導の徹底を図ってまいります。

 

【当面の県政課題】

次に、当面の県政課題について申し上げます。

はじめに、新型コロナウイルス感染症への対応等について申し上げます。

(国内外及び県内の感染状況等)
 新型コロナにつきましては、全世界で感染者が約3,000万人となるなど、今なお世界各地で猛威をふるっております。
 国内におきましても、6月下旬以降、首都圏をはじめ大都市圏で感染者が再び増加し、大都市圏以外でも3月から5月の第1波を上回る感染状況となっております。8月以降、全国の感染者数は減少に転じているものの、大都市圏では現在も多くの感染者が確認されているところです。
 県内では、これまでに78名の感染者が確認されております。7月4日に2か月ぶりに新たな感染者が確認され、その後も散発的に確認されております。
 このため、引き続き、感染拡大への警戒が必要な状況にありますが、県内における7月以降のいずれの事例におきましても、保健所の積極的疫学調査により、速やかに濃厚接触者を特定し迅速に検査を行うことで感染者の把握に努め、封じ込めに全力を挙げることにより、感染の連鎖を最小限に食い止めることができていると考えております。
また、4月の感染拡大時にみられた家庭内や職場内での感染は、ほとんど見られておりません。これは、県民の皆様お一人おひとりが、感染予防の基本となる「新・生活様式」をしっかりと実践していただいていること、そして、事業者の皆様も、業種ごとの感染拡大予防ガイドラインに基づき、適切な対策に取り組んでいただいていることが、感染の拡大防止に効果を上げているものと考えております。
 県民の皆様の御理解・御協力と事業者の皆様の取組みに対しまして、深く感謝申し上げます。
 また、日夜、感染リスクと向き合いながら、医療の最前線で活躍していただいている医療従事者の方々をはじめ、強い使命感を持って県民生活を支えていただいている全ての皆様が県民の誇りであります。その御尽力に改めて深く敬意を表しますとともに、心より感謝申し上げます。
 なお、現在も2名の方が入院されておりますので、一日も早い回復を願っております。

 

(感染防止対策等)
 次に、7月以降の新型コロナ対策に係る主な取組みについて申し上げます。
 県をまたいだ移動の自粛につきましては、6月19日から全国で解除されたところですが、その後、首都圏などで感染が拡大傾向となったことを踏まえ、感染者が増加している地域への不要不急の移動をできる限り控えていただくことをお願いしてまいりました。お盆の期間につきましても、感染拡大地域からの帰省について慎重な対応をお願いしたところです。
 7月29日の新型コロナに係る危機対策本部の第13回本部員会議では、新型コロナ注意・警戒レベルの見直しを行いました。
 注意・警戒レベルにつきましては、従前のレベルを策定した5月下旬以降、検査・医療提供体制の充実に加え、県民の皆様による「新・生活様式」の実践や事業所における感染拡大予防ガイドラインの取組みが拡大してきたことから、こうした状況を踏まえた対応策について、「新型コロナ対応の目安」として新たに設定したところです。

 

(相談体制と検査・医療提供体制等)
 次に、相談体制と検査・医療提供体制等について申し上げます。
 4月からフリーダイヤルの24時間相談窓口を設置して対応してまいりましたが、より県民の皆様に安心していただけるよう、7月から、感染を心配する方向けの「新型コロナ受診相談センター」の回線を増設するとともに、様々な不安や相談を受け付ける「一般相談コールセンター」を新たに設置するなど、相談体制の強化に努めてまいりました。
 検査体制につきましては、これまでの県衛生研究所に加え、7月から県内2箇所の保健所及び医療機関にもPCR検査機器を導入するなど、強化に努めた結果、現時点では1日当たり最大500件程度の検査が可能となっております。今後は、唾液による検査の普及や地区医師会の御協力をいただきながら、1日当たり1,000件程度の検査が可能となる体制の整備を目指してまいります。
 医療提供体制につきましては、これまで、新型コロナ専用病床として、150床を確保してまいりましたが、今後の感染拡大に備え、新たに2つの医療機関に御協力いただき、県内8か所の医療機関において、患者の発生状況に応じて専用病床を段階的に拡充し、最大で215床(うち重症者病床は25床)と、感染のピーク時に見込まれる入院患者数(180名)に十分対応できる病床数を確保いたしました。
 今後とも、県民の皆様に安心していただける相談体制と検査・医療提供体制を整備してまいります。
 介護・障がい等施設における対策としましては、感染防止対策の強化を図るとともに、仮に感染症が発生しても必要なサービスを継続して提供できるよう、相互応援ネットワークの構築を進めているところです。
 また、新型コロナによるいじめや偏見、差別への対策として、市町村や関係機関、専門家と連携・協力しながら、今月16日に、「新型コロナによるいじめ・偏見・差別問題対策協議会」を立ち上げたところであり、感染者やその関係者の方が、引き続き地域で安心して生活できるよう、寄り添いながらサポートしてまいります。
 さらに、県民の皆様が新型コロナに関する正しい知識を身につけ、予防対策を実践していただくため、「新型コロナウイルス予防の手引き」を全戸配布し、不安の解消や感染拡大への備えとして御家庭などで活用いただく予定としております。
 今後も、県民の皆様に感染予防を実践していただき、また、少しでも不安を解消していただけるよう、対策を充実してまいります。

 

(経済活動の回復に向けた取組み)
 次に、経済活動の回復に向けた取組みについて申し上げます。
 コロナ禍における急激な売上げ減少による中小企業・小規模事業者の資金繰りを下支えするため、県と市町村・金融機関が連携した全国でも例を見ない本県独自の10年間無利子・無保証料の融資制度である「地域経済変動対策資金」を、政府に先駆けて創設し、3月16日から8月31日まで約6か月にわたって緊急的な支援を行ってきたところです。
 今後につきましては、政府の第1次補正予算を活用し5月1日から県の商工業振興資金融資制度に追加した、3年間無利子・10年間無保証料となる「新型コロナウイルス感染症対応資金」の活用とともに、中長期的な資金繰りについては、政府の第2次補正予算において打ち出された政府系金融機関による「資本性劣後ローン」等の資本性資金が活用されるよう、県としても金融機関と連携し、しっかりと取り組んでまいります。
 また、雇用調整助成金の緊急対応期間につきましては、9月末までとなっておりましたが、新型コロナの影響が長引く中、本県の経済団体や企業などから更なる延長を求める声が多く寄せられたことから、私は、10月以降の延長について全国知事会を通して、政府に対し強く要請してまいりました。その結果、先般、厚生労働省から雇用調整助成金の緊急対応期間を12月末まで延長することが発表されたところです。
 今後とも、県内中小企業・小規模事業者の事業継続と雇用維持に全力で取り組むとともに、現在準備を進めている飲食店・小売店・生活関連サービス業等で利用できるプレミアムクーポン券の発行や、政府のGoToEatキャンペーン事業等を活用しながら消費喚起を図り、県内経済の一刻も早い回復に取り組んでまいります。
 その一環として、文化・芸術分野につきましては、「やまがたの文化応援キャンペーン」として8月からクーポンの発行を実施しておりますが、9月10日からは、11月末までの期間限定で、「文化芸術の秋キャンペーン」として、同クーポン利用対象者の居住地を「県内」から「全国」へと拡大するとともに、全国の小・中学校、高等学校等の児童・生徒が県内の美術館・博物館等を利用する場合、入館料を無料とする取組みを展開しております。より多くの方々に本県の素晴らしい文化芸術を見て、触れて、感じていただくとともに、県内の文化施設・団体等をしっかりと支援してまいります。
 観光分野につきましては、依然として厳しい状況が続いていることから、私が提案し、9月7日に東北6県と新潟県の知事及び仙台市長と新潟市長、そして東北観光推進機構会長とともに、東北・新潟において、域内の皆様が域内を行き来して、旅を楽しみながら、魅力を再発見していただこうという趣旨の共同メッセージを発出したところです。
 この共同メッセージを踏まえ、「県民泊まって元気キャンペーン」の対象を、東北各県と新潟県の県民の方へも拡大するとともに、GoToトラベルキャンペーンとの併用も可能としたところです。
 引き続き、観光需要の回復に全力で取り組んでまいります。

 

(農林水産分野の取組み)
 農林水産業につきましては、観光需要の減少やイベントの中止・縮小などにより、牛肉や花き、高価格帯の果物や水産物の大幅な価格低下、販売不振などの影響が生じたことから、これまで、本県独自の緊急的な価格安定対策や経営安定対策のほか、学校給食での県産農産物や水産物の提供、学校や公共施設での飾花(しょくか)、各種キャンペーンの実施などの消費喚起策を講じてまいりました。
 この結果、さくらんぼにつきましては、本県産の品質が県内外の皆様から高い評価をいただき、価格が堅調に推移したため、緊急価格安定対策事業の発動を行うことなく、むしろ、昨年を上回る販売状況ではなかったかとみております。
 一方で、外食需要の完全な回復が見込めない牛肉のほか、出荷を控えた本年産米や秋果実、住宅着工の低迷の影響を受ける県産木材等につきましては、今後も需要の動向を注視し、実情を踏まえながら、必要な対策を講じてまいります。

 

(山形県新型コロナ対策応援金)
 次に、「山形県新型コロナ対策応援金」について申し上げます。
 県民の皆様や県内企業・団体、県外の方々から、これまでに7,400万円を超える御寄附をいただいております。
 応援金につきましては、解雇・雇止めとなった労働者に対する生活支援や、難病患者の方に対するマスクの支援、生活福祉資金の特例貸付を受けた世帯に対する県産米の支援などに活用させていただいているところです。
 御寄附いただいた皆様に心より感謝申し上げますとともに、引き続き、温かい御支援・御協力をよろしくお願いいたします。

 

 県内では、現在、県民の皆様、事業者の皆様の御協力により、感染は限定的となっておりますが、全国的には、いまだに新たな感染者が増加しております。
 県民の皆様には、感染のリスクが身の回りにあるという意識を持ち、暮らしや働く場において、手洗いの徹底、マスクの着用、身体的距離の確保など基本的な感染防止対策のほか、テレワークやオンライン会議の推進など、「新しい日常」を実践していただくよう、そして、事業者の皆様には、感染拡大予防ガイドラインを徹底していただくよう、お願いいたします。
県としましても、県民の皆様の命と健康を守るため、医療提供体制等のさらなる充実を図るとともに、地域経済の回復に向け、安心して社会・経済活動ができる環境づくりを進めてまいります。
 今後とも、県内市町村はもとより、政府や関係機関・団体との連携を密にして、今般の危機を一緒に乗り越えてまいりたいと考えておりますので、県議会をはじめ、県民の皆様、事業者の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げます。

 

次に、豪雨災害への対応について申し上げます。

 令和2年7月豪雨への対応につきましては、県議会8月臨時会におきまして、緊急に必要となる81億7,800万円の復旧関連の事業費の補正予算を御可決いただき、現在、その執行に全力を挙げているところでありますが、その後の継続的な調査によって被害が大幅に拡大していることが明らかとなりました。
 その結果、農林水産関係の被害は、農作物等が2,439ha、農地・農業用施設が2,403箇所、森林関係が966箇所となり、被害額は約125億3,600万円となっております。
 また、商工業関係では、121の事業所で約10億円の被害額が生じていることが明らかとなりました。
 公共土木施設の被害額と合わせた現時点の被害総額は、約356億円となっております。

 

 県では、政府に対し、7月31日に災害復旧事業の推進に向けた緊急要望書をとりまとめ提出するとともに、私から内閣府防災担当大臣に電話し、緊急の要望を行いました。
 さらに、9月2日には、応急対策と復旧・復興対策として10項目に及ぶ「豪雨災害に関する緊急要望」を提出するとともに、国土交通省副大臣には、オンラインにより私から直接、最上川の治水対策の推進や強靭な県土づくりへの支援、大規模災害発生時のリダンダンシーの確保などについて要望を行いました。

 

 今後、災害査定を踏まえた復旧作業が本格化いたしますが、県民の皆様の安全・安心を確保するため、県民生活の基盤である公共土木施設や農地・農業用施設の復旧に総力を挙げて取り組むことはもとより、被災市町村に対しては、市町村事業が円滑に進むよう指導・助言等を行ってまいります。
 農林水産関係につきましては、政府の災害復旧事業の対象とならない小規模な被害に対応した支援と合わせ、農作物被害に対しても、かかり増しする病害虫防除や施肥等に対する支援など、営農継続と再生産に向けた総合的な対策を講じているところです。今後とも、被災農業者の皆様が営農意欲を維持していただけるよう、必要な対策を講じてまいります。
 また、商工業関係の被災事業所の復旧につきましては、「なりわい再建支援補助金」など政府の支援策も十分に活用し、一日も早く事業再開ができるよう支援してまいります。
 引き続き、被災市町村をはじめ、政府や関係機関・団体と連携し、豪雨災害からの早期の復旧・復興に、全力で取り組んでまいります。

次に、「ゼロカーボンやまがた2050(ニーゼロゴーゼロ)」宣言について申し上げます。

8月6日に、オンライン形式で開催された全国知事会の「第1回ゼロカーボン社会構築推進プロジェクトチーム会議」に出席し、小泉環境大臣との意見交換の中で、本県として2050年に二酸化炭素実質排出ゼロを目指す「ゼロカーボンやまがた2050(ニーゼロゴーゼロ)」を宣言いたしました。
 この宣言を行った背景には、本県に甚大な被害をもたらした7月の豪雨災害など、近年、地球温暖化による気候変動の影響と考えられる異常気象やこれに伴う災害が頻発し、気候変動対策は待ったなしとの危機感を持ったところであります。また、環境省がパリ協定の目標達成のために、自治体に対し、2050年までの二酸化炭素排出量の実質ゼロを目指す、いわゆる「ゼロカーボンシティ」を表明するよう呼びかけていることに応えたものでもあります。
 気候変動への危機感を、この宣言により県民の皆様と共有するとともに、政府に対しても、脱炭素技術のイノベーション推進や地方公共団体のゼロカーボンに向けた取組みへの支援について働きかけてまいります。
 コロナ禍からの経済復興とゼロカーボン社会への移行の両立を目指す「グリーンリカバリー」の考え方のもと、再生可能エネルギーの導入拡大や森林整備等による二酸化炭素の吸収源対策など、本県の豊かな環境資源を積極的に活用した施策を総合的に推進することで、県民の皆様の安全・安心な暮らしを守り、地球温暖化防止に貢献できるよう取り組んでまいります。

次に、山形県におけるデジタル化の推進について申し上げます。

 新型コロナの拡大を契機として、官民を問わず、社会のあらゆる分野において、デジタル化が急速に進んでおり、本県においても、
3月以降、オンライン会議の積極的な活用を進めてきたところです。また、働き方改革とあわせて職員のテレワーク環境の整備などに取り組むため、4月及び6月議会において、携帯型パソコンの配備をはじめとした機材の整備・拡充等のための補正予算を御可決いただいたところです。
 今後は、こうした県庁における取組みに加え、企業や農林水産業、介護・福祉分野など全分野でのデジタル化に向けた取組みを通して、県民の皆様の生活を、より便利に、より豊かに、より幸せなものにしていくことが何よりも重要と考えております。
 このため、新たに「Yamagata幸せデジタル化」有識者会議を設置してオンラインで開催し、委員の皆様の知見や社会実装の経験等に基づいた御助言・御提案をいただきながら、デジタル化のさらなる推進を通して県民の皆様の幸せな生活を実現してまいります。

次に、令和3年度県政運営の基本的考え方について申し上げます。

 新型コロナの感染拡大の影響により、「新・生活様式」の実践と定着による日常のあり方の変化やデジタル化の加速など、社会経済情勢が大きく変化しております。
 このような状況にあるからこそ、第4次山形県総合発展計画の推進において、新型コロナの感染拡大防止と経済回復の両立にしっかりと取り組むとともに、ポストコロナを見据え、変化に柔軟に対応し、変化を積極的に取り入れ、将来にわたって持続的に発展し続ける、質の高い「新しいやまがた」を目指していくことが重要であります。
 このような考え方のもと、来年度の予算編成や組織機構等の検討に先立ち、この度、「令和3年度県政運営の基本的考え方」の案をお示しいたしました。
 具体的には、施策全般においてデジタル化や人材の育成・確保などを強く推し進めるとともに、移住定住の促進やテレワークなど働き方改革の推進をはじめとする「ふるさと山形力の向上」、ソフト・ハード両面における防災力の強化など「やまがた強靭化」、スマート農業の推進や高度な農業経営人材の育成など「農林水産業の振興・活性化」、産業イノベーションの創出など「産業経済の振興・活性化」、医療・福祉分野におけるデジタル化推進や提供体制の確保など「保健・医療・福祉の充実等による安全・安心な社会づくり」の5つの視点を重視してまいります。
 これら施策により、山形ならではの「幸せな育ち、幸せな暮らし」の実現、デジタル化による仕事や生活の新しいスタイルの構築、持続可能な社会につなげてまいります。
 今後、この案につきまして、県民の皆様、県議会の皆様から広く御意見をいただき、それらを十分に踏まえたうえで「令和3年度県政運営の基本的考え方」を策定し、来年度の予算編成等に臨んでまいります。

 

【議案の概要】

次に、このたび御審議いただきます議案の概要について御説明申し上げます。

 提案いたしました議案は、令和2年度山形県一般会計補正予算(第6号)など、35件であります。

まず、一般会計補正予算について申し上げます。

 今回の補正予算は、7月豪雨被害及び新型コロナウイルス感染症への対応を進めるとともに、喫緊の課題への対応等のために補正を行うものであります。

 

 まず、7月豪雨被害への対応につきましては、当初予算に計上している災害対応予算を活用するとともに、8月臨時会において緊急に必要となる復旧関連の事業費を計上した補正予算を御可決いただき、現在、復旧に向けた対策を迅速に進めているところですが、このたびは、災害査定を踏まえた復旧費用等について、追加で計上するものであります。
 具体的には、災害査定を踏まえた災害復旧工事等を実施するほか、農産物の生産・加工に必要な施設・機械の再建や共同利用施設の補修・修繕等について、政府の災害対策パッケージを活用して支援するとともに、市町村と連携して嵩上げ補助を行います。
 引き続き、被災市町村をはじめ、政府や関係機関・団体と連携し、豪雨被害からの復旧・復興に全力で取り組んでまいります。

 

 次に、新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、第1に、「医療・介護提供体制の強化、感染症拡大への備え」としまして、県が新型コロナ専用病床の確保を要請している医療機関への空床補償について、これまでの実績等を踏まえて増額するとともに、入院勧告が解除された後に引き続きリハビリなどの療養が必要な患者を受け入れる医療機関に対して新たに空床補償を実施いたします。
 また、介護施設における感染リスクの低減や職員の負担軽減・業務効率化を図るため、簡易陰圧装置や介護ロボット等の導入を支援いたします。さらに、店舗等で感染者が確認された場合に、迅速な注意喚起を行うことにより感染の拡大を防止するため、QRコードを利用した感染者発生通知システムを導入いたします。

 

 第2に「新・生活様式の定着関連」としまして、「新・生活様式」に対応するため設備投資等を行う事業者への支援について予算を拡充するほか、「新・生活様式」等に対応した住宅への改修促進のため、市町村と連携して住宅リフォームへの支援を行います。
 また、地域生活交通事業者に対し、運賃受取りの際の接触を減らし感染拡大を防止するとともに、利便性の向上を図るため、交通系ICカードの導入を支援します。

 

 第3に「雇用の維持・確保、経営の安定」としまして、新型コロナの影響を踏まえ、海外の生産拠点を県内に移転する場合や海外への依存度が高い製品等の生産拠点を県内に整備する場合の整備費を支援するとともに、地方移住や地方で働くことへの関心の高まりを受け、特に女性や若者の雇用の受け皿となることが期待されるソフトウェア業やデザイン業等の事業拠点を県内に整備する場合の整備費を支援いたします。
 また、三大都市圏から本県に移住した方を県内事業所において正社員として採用した場合や、離職を余儀なくされた県民を正社員として採用した場合に、移住者への支援金や事業者への奨励金を支給いたします。さらに、「地域おこし協力隊」を確保するため、県内市町村に着任する隊員の方に支援金を給付いたします。

 

 第4に「産業振興、経済活性化」としまして、中小企業・小規模事業者等の資金繰りを支援するため、政府の「新型コロナウイルス感染症対応資金」の融資枠を拡充するとともに、e(イー)コマースによる販路拡大を進めるため、県内事業者及び農林漁業者等のウェブサイトの創設等を支援いたします。
 また、落ち込んだ住宅の需要と住宅に用いる木材の需要を喚起するため、県産木材使用住宅の新築を市町村と連携して支援いたします。

 

 第5に「結婚・妊娠・子育て世帯や障がいのある方への支援」としまして、新型コロナの影響で婚姻数や出生数が減少する傾向があることから、政府の特別定額給付金の対象とならなかった新生児に対して応援金を給付するなど、結婚・妊娠・子育てを応援するキャンペーンを展開してまいります。
 また、収入が減少しているひとり親家庭を支援するため、県単独で応援金を支給するとともに、就労継続支援B型事業所を利用する障がいのある方に、支援金を給付いたします。

 

 第6に「山形県新型コロナ対策応援金」の活用としまして、生活困窮者に食料を提供するフードバンクの活動を新たに支援するとともに、解雇や雇止めされた労働者への給付金について、実績を踏まえて増額いたします。


 そのほか、喫緊の課題への対応等としまして、養豚場における豚熱の感染防止対策として、ワクチン接種に必要な体制を整備するほか、西置賜地域における知的障がい特別支援学校の校舎整備に向け、調査・設計等を行います。また、防災・減災、国土強靭化対策事業などについて、当初予算を上回る国庫の内示を受けたことから、土木・農林関係の公共事業を追加いたします。

 

 この結果、今回の一般会計補正予算総額は、321億1,900万円となり、今年度の累計予算額は、7,425億100万円となります。

次に、予算以外の議案の主なものについて御説明申し上げます。

 山形県手数料条例の一部を改正する条例の制定につきましては、豚熱予防注射の額の適正化を図る等のためのもの、山形県迷惑行為防止条例の一部を改正する条例の制定につきましては、卑わいな行為及び嫌がらせ行為について、県民及び滞在者等の生活の平穏を保持するために必要な規制を追加するとともに、罰則を強化する等のためのものであります。
 山形県教育委員会委員の任命につきましては、委員の任期満了に伴い、提案の者を適任と認め、御同意をお願いするものであります。


 以上が、今回提案いたしました議案の概要でありますが、内容の詳細につきましては、議事の進行に従いまして、関係部課長より御説明申し上げますので、よろしく御審議のうえ、御可決くださいますようお願いいたします。

 

 なお、令和元年度一般会計及び公債管理特別会計など11特別会計、並びに電気事業会計など5公営企業会計の決算につきましては、監査委員の審査意見書を付し、今会期中に提出いたしますので、よろしく御審議のうえ、御認定くださいますようお願いいたします。

 

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