更新日:2020年12月1日

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12月定例会(令和2年12月1日)

  県議会12月定例会の開会に当たり、提案いたしました議案の説明に先立ち、経済の動向並びに当面の県政課題について、御説明申し上げます。

【経済の動向】

はじめに、経済の動向について申し上げます。

  我が国の経済につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にありますが、個人消費や輸出、生産については持ち直しております。
 本県経済についてみますと、雇用情勢につきましては、新型コロナの影響により、有効求人倍率の低下など弱い動きが続いております。鉱工業生産につきましては、新型コロナの拡大前よりも低水準で推移しておりますが、主要な業種では持ち直しの動きがみられております。一方、個人消費は、飲食業などで厳しい状況が続いているものの、食料品や家電は堅調に推移し、新車登録台数や観光・宿泊業などでも回復傾向にあります。
 以上、本県経済の現状を総括しますと、新型コロナの影響により依然厳しい状況にあるものの、一部に持ち直しの動きがみられているところです。
 先行きにつきましては、感染拡大の防止策を講じながら社会経済活動のレベルが引き上げられていく中で、持ち直しの動きが続くことが期待されますが、新型コロナが内外経済を下振れさせるリスクに十分注意する必要があります。県内では、厳しい状況に対応しながらも、様々な分野で前向きに挑戦しておられる方が多数いらっしゃいます。県としましては、新型コロナが経済に与える影響に十分注意しながら、こうした新しい挑戦への後押しをはじめ、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図る取組みを進めていくことが重要と考えております。

【当面の県政課題】

次に、当面の県政課題について申し上げます。

はじめに、新型コロナウイルス感染症への対応等について申し上げます。

(国内外及び県内の感染状況等)

 新型コロナは、全世界で感染者が6,000万人を超え、感染拡大に歯止めがかからない状況が続いております。
国内では、感染者が14万人を超えました。新規感染者数は8月第1週をピークに減少が続いた後、ほぼ横ばいでしたが、10月以降増加傾向となりました。11月以降はその傾向がさらに強まり、1日の感染者数が過去最多の水準となるなど、感染拡大のスピードが増しており、全国的には第3波と言われる状況となっております。
 県内では、4月から5月の第1波を乗り越えてからは、7月以降、散発的な発生にとどまっておりました。しかしながら、10月下旬以降、再び新規感染者が増加し、11月8日以降は連日のように確認され、昨日までの累計は135人となりました。感染者は県内の広い範囲で確認されており、11月29日には、1日の新規感染者としてはこれまで最多の11人が確認されるなど、急増しています。まさに、県内は第2波に突入したものと捉え、強い危機感を持っているところです。現在、本県の「新型コロナ対応の目安注意・警戒レベル」は、レベル3の「警戒」にはあるものの、限りなくレベル4の「特別警戒」に近づきつつあると捉えており、感染拡大を一層警戒しなければならない状況です。
 また、県職員の感染例も複数確認されました。新型コロナ対策を推進する立場にある県として、このことを重く受け止め、感染防止の一層の徹底を図ってまいります。

 

 最近の感染事例では、県外に出張し、あるいは県内に出張や帰省等で来られ、感染につながったと推定される事例のほか、発熱などの症状が出ているにもかかわらず仕事を続け、家族や職場の同僚などに連鎖的に感染が広がった事例もみられます。
 県としましては、今後とも感染防止対策の徹底を図るとともに、保健所の積極的疫学調査により、速やかに濃厚接触者を特定し、迅速かつ幅広に検査を行うことで感染者の把握に努め、感染の連鎖を早期に食い止めるよう全力を挙げてまいります。

 

 なお、入院されている方々の一日も早い回復を心から願っております。
 また、医療従事者の方々をはじめ、県民生活を支えていただいている保育・介護等の福祉サービス事業者や運送事業者の皆様などの御尽力に対し、改めて深く敬意を表しますとともに、心から感謝申し上げます。

 

(相談体制と検査・医療提供体制等)

 次に、新型コロナと季節性インフルエンザの同時流行に備えた発熱患者等の相談・診療・検査体制の整備について申し上げます。
 本県では、かねてより県医師会と連携し、地域の身近な医療機関における診療及び検査体制の整備に取り組んでまいりました。
 11月2日からは、各地区郡市医師会の協力を得て、かかりつけ医等の身近な医療機関において発熱患者等の相談や診療、検査を行う体制を確保しております。
 診療・検査の対応が可能な医療機関は、11月27日現在で、病院が45箇所、診療所が260箇所の合計305箇所、さらに、PCR検査センター等の設置が4箇所となっております。
 今後とも、県民の皆様に安心していただける医療提供体制及び検査体制の充実に努めてまいります。

 

(経済活動の持続と回復に向けた取組み)

 次に、経済活動の持続と回復に向けた取組みについて申し上げます。
 コロナ禍における急激な売上げ減少により影響を受けた中小企業・小規模事業者の資金繰りにつきましては、県と市町村・金融機関が連携した本県独自の10年間無利子・無保証料の「地域経済変動対策資金」により緊急的な支援を行うとともに、現在は、政府の第1次補正予算を活用した3年間無利子・10年間無保証料となる「新型コロナウイルス感染症対応資金」による支援を継続しております。また、中長期的な金融支援として政府系金融機関の「資本性劣後ローン」等の活用が重要なことから、産業労働部に設置した金融ワーキングチームを中心に、県内中小企業・小規模事業者による同資金の円滑な利用を促進してまいります。
 雇用の維持につきましては、政府の雇用調整助成金の緊急対応期間について、全国知事会を通して政府に強く要請し、12月末まで延長されておりますが、新型コロナの影響が長引く中、来年1月以降の再延長についても、先般の全国知事会において、私から改めて強く要請してまいりました。その結果、先般、厚生労働省から雇用調整助成金の特例措置等を令和3年2月末まで延長することが発表されたところです。
 また、消費喚起策として、飲食店、小売店、生活関連サービス等、幅広い業種を対象とした「山形県プレミアム付きクーポン券」につきましては、10月22日から山形市を皮切りに、県内全市町村で約6,500店舗において販売を開始したところです。既に完売している店舗もありますが、まだ販売中の店舗もありますので、是非地域の身近なお店を訪れていただき、感染防止に努めながら消費拡大に御協力いただきますようお願いいたします。
 今後とも、県内中小企業・小規模事業者の事業継続と雇用維持に全力で取り組むとともに、県内経済の一刻も早い回復に取り組んでまいります。

 

(感染防止対策等)

 新型コロナへの対応につきましては、ワクチンの実用化に向けた動きなど明るい兆しがあるものの、全国的な感染拡大により、しばらくは予断を許さない状況が続くと考えております。感染拡大を抑えるためには、今こそ、しっかりと感染防止に努めることが大事であります。

 

 県民の皆様には、感染のリスクがどなたの身の回りにもあるという意識を持ち、手洗いの徹底・マスクの着用、適切な換気、身体的距離の確保、3つの密を避けるなどの「新・生活様式」を実践していただくようお願いいたします。特に、マスクの着用は、感染防止の基本であります。外出時や職場などでも正しくしっかり着用していただくようお願いいたします。また、発熱などの症状がある場合は、軽い症状であっても無理をせず、仕事や外出は控えていただき、早めにかかりつけの医療機関、もしくは受診相談コールセンターに御相談をお願いいたします。
 御高齢の方や基礎疾患をお持ちの方は、重症化リスクが高くなりますので、御家族の方などその周囲にいらっしゃる方も含め、より慎重な行動をお願いいたします。

 

 事業者の皆様には、感染拡大予防ガイドラインの遵守を改めて徹底していただくとともに、従業員の方の健康管理をしっかりと行っていただき、体調が悪い場合は無理をしないで仕事を休み、早めの医療機関受診を勧めていただくなど、御配慮をお願いいたします。なお、寒い時期になり、暖房して空気が乾燥しやすくなりますので、換気についても、室温が急激に下がらないように工夫しながら、十分御留意いただきたいと思います。

 

 また、感染拡大を抑え、年末年始を穏やかに過ごしていただくためにも、少なくとも今後2週間程度は、県外からの出張や帰省等も含め、県外の感染拡大地域との間の移動については慎重な対応を御検討いただくようお願いいたします。
 とりわけ、県外の感染拡大地域との出張につきましては、移動時期の見直しやオンラインの活用など、できるだけ感染リスクを避ける工夫を御検討いただくとともに、必要があって移動する場合にも、「新・生活様式」をしっかりと徹底し、飲酒を伴う会合や会食は控えていただくようお願いいたします。
 県外の感染拡大地域からの帰省につきましても、慎重な対応を検討していただくよう、県外に住む御家族や御親戚、友人の方にお伝えいただきたいと思います。

 

 新型コロナは誰でも感染しうる病気です。感染された方やその御家族、職場関係者、医療従事者などに対する心無い言動やSNSでの書き込みなど、差別や偏見、いじめなどは決して行わないよう、改めてお願いいたします。

 

 県としましても、県民の皆様の命と生活を守るため、検査・医療提供体制の充実と感染拡大の防止に努めるとともに、社会経済活動の維持・回復を図ってまいります。
 私は、県民の皆様とともに、この故郷(ふるさと)山形を未来にしっかりと引き継げるよう、精一杯取り組んでまいります。今後とも、県議会の皆様はじめ、県民の皆様、事業者の皆様の御理解と御協力をいただきながら、県内市町村はもとより、政府や関係機関・団体との連携を密にし、この難局を乗り越えるべく全力を尽くしてまいりますので、引き続き、御理解と御協力を賜りますようお願いいたします。

 

次に、行財政改革の推進について申し上げます。

 これまで、平成29年3月に策定した「山形県行財政改革推進プラン」に基づき、県民参加による県づくりや県民視点に立った県政運営を推進するとともに、自主性・自立性の高い行財政運営を支える基盤づくりを着実に進めてまいりました。
 本年度は、同プランの推進期間の最終年度に当たることから、プランに掲げた目標が達成できるよう、全庁を挙げて取組みを進めますとともに、本年3月に策定した第4次山形県総合発展計画による県づくりの着実な展開に向けて、新たな行財政改革推進プランの策定に取り組んでおります。
 新たなプランは、「県民視点に立ち、時代に即した行政サービスの提供」、「リスクに柔軟に対応し、健全で持続可能な行財政基盤の確立」、「県政運営を支える人づくりと多様で柔軟な働き方の推進」の3本柱で構成することとし、行政のデジタル化の推進、頻発・激甚化する大規模な自然災害や感染症等への備え、テレワークやWeb会議など多様で柔軟な働き方の推進などに取り組む内容としてまいりたいと考えております。
 具体的な取組内容につきましては、今後、県議会をはじめ、県民の皆様や山形県行政支出点検・行政改革推進委員会などから御意見をいただきながら、検討を進め、本年度内に策定してまいります。

 

次に、男女共同参画の推進について申し上げます。

 新型コロナの流行下において、首都圏への一極集中リスクが顕在化し、地方回帰への関心が高まっています。この機を逃さず、若者、特に若い女性の移住定住を促進するため、地方でも質の高い暮らしを実現したいという若者・女性の希望を後押しする取組みが必要であると考えております。
 10月29日に開催された北海道東北地方知事会議において、女性の移住定住に繋げるため、1道7県が一体となって、女性活躍に向けた実効性ある取組みを進めていくことを呼びかけました。また、11月11日には、内閣府の男女共同参画会議において、若年女性の地方への定着・回帰の促進に向けた意識調査の必要性に加え、地方に根強く存在する固定的な役割分担意識や無意識の思い込みを解消するため、多様なメディアにおける男女共同参画の視点に配慮した表現の推進などについて提言を行ったところです。
 今後とも、男女共同参画会議や全国知事会男女共同参画プロジェクトチームなど、様々な機会を捉え、地方を代表して地方の声を届けてまいります。また、県としましても、持続可能で活力ある社会づくりのため、女性も男性もいきいきと活躍できる「男女共同参画」の推進を、一層前へ進め、若者、特に若い女性の県内への移住定住を促進するとともに、誰もが幸せに育ち、幸せに暮らし働き続けることができる社会を目指して全力で取り組んでまいります。

 

次に、県産米の状況について申し上げます。

 令和2年産の県産米の作柄につきましては、7月豪雨や8月の高温など気象変動の激しい中で、生産者の皆様のたゆみない努力により、11月末現在で、作況指数は104の「やや良」、一等米比率は全国一位となる94.8パーセントと、収量・品質とも好成績となりました。
 一方、新型コロナの影響などで全国的に米の需要が停滞している中、生産者の皆様からは令和3年産米の作付けへの不安の声が寄せられております。このため、来年も生産者の皆様が意欲を持って稲作経営に取り組むことが出来るよう、生産現場の意見を十分に踏まえながら、つや姫・雪若丸ブランド化戦略に沿った着実な生産拡大と県産米シェアの堅持を織り込んだ「生産の目安」が、11月27日に山形県農業再生協議会において設定されたところです。
 県としましても、全国的な米の需給安定に向けた対策を引き続き政府に働きかけるとともに、米の主産県として、米価安定に向け関係機関・団体と一体となって、オール山形で需要に応じた米生産に取り組むとともに、県産米の一層のブランド化に向け、全力で取り組んでまいります。

 

【議案の概要】

次に、このたび御審議いただきます議案の概要について御説明申し上げます。

 提案いたしました議案は、令和2年度山形県一般会計補正予算(第8号)など、30件であります。

まず、一般会計補正予算について申し上げます。

 今回の補正予算は、令和2年7月豪雨及び新型コロナウイルス感染症につきまして追加の対応を実施するとともに、人事委員会勧告の実施に伴う給与改定や職員の異動等による人件費の補正などを行うものであります。
 7月豪雨への対応につきましては、県議会8月臨時会及び9月定例会において復旧関連の事業費の補正予算を御可決いただき、現在、その執行に全力を挙げているところでありますが、その後の継続的な調査により被害がさらに拡大していることが明らかとなりました。現時点の被害総額は約432億円となっております。これに関連し、9月定例会において補正予算に計上した、農産物の生産・加工に必要な施設・機械の再建等を支援する経費について、その後の要望調査を踏まえて増額いたします。また、大規模な浸水被害が発生した大旦川(おおだんがわ)において、国庫補助事業を活用し、河道(かどう)掘削や調節池(ちょうせつち)の整備を加速いたします。引き続き、被災市町村と連携し、豪雨災害からの復旧・復興に取り組み、被災された農業者の営農意欲の維持と、県民の皆様の安全・安心の確保に努めてまいります。
 新型コロナへの対応につきましては、解雇・雇止めされた労働者への給付金について、実績等を踏まえて増額いたします。
 このほか、人件費の補正などを行うことにより、一般会計補正予算総額は5億7,000万円の減額となり、今年度の累計予算額は7,428億5,800万円となります。
 繰越明許費につきましては、年度内に支出の終わらない見込みのある経費について翌年度に繰り越して使用するため、総額で241億2,800万円余を計上するものであります。
債務負担行為の補正につきましては、工事の早期着工を図るため、いわゆるゼロ県債など16事業で47億5,500万円を計上いたします。
 土地取得事業特別会計など2特別会計及び流域下水道事業会計など5公営企業会計の補正予算につきましては、人件費等を補正するものであります。

次に、予算以外の議案の主なものについて御説明申し上げます。

 山形県体育施設条例の一部を改正する条例の制定につきましては、山形県あかねケ丘陸上競技場を廃止するためのものであります。
 山形県公共調達評議委員会委員の任命につきましては、委員の任期満了に伴い、提案の者を適任と認め、御同意をお願いするものであります。

 

 以上が、今回提案いたしました議案の概要でありますが、内容の詳細につきましては、議事の進行に従いまして、関係部課長より御説明申し上げますので、よろしく御審議のうえ、御可決くださいますようお願いいたします。

 

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