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更新日:2020年10月12日
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県議会臨時会の開会に当たり、提案いたしました議案の説明に先立ち、一言申し上げます。
令和2年7月豪雨は、九州や中部、東北地方など全国各地に甚大な被害をもたらしました。お亡くなりになられた方々と御遺族に対し深く哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。
本県におきましても、7月27日から29日にかけて、停滞した梅雨前線の影響により県内の広い範囲で非常に激しい降雨となり、各地で甚大な被害が発生いたしました。最上川では、水位が上昇し、4つの水位観測地点で観測史上最高の水位を記録し、9箇所で氾濫が発生しました。
県内の31市町村で避難指示や避難勧告等の避難情報が発令され、358箇所で開設された避難所には、最大で1万人を超える県民が避難しました。
この豪雨により、住家の全壊1棟、大規模半壊7棟、半壊54棟、一部破損3棟、床上浸水143棟、床下浸水503棟の計711棟の被害が発生し、非住家につきましても491棟に被害が及んでおります。また、土砂崩れや路面冠水などにより6市町村16地区で一時孤立状態が発生したほか、停電や断水等のライフラインの寸断、学校の休校や授業時間の繰上げ・繰下げの措置、保育所や幼稚園など児童関係施設の休園、山形新幹線の運休などにより、県民生活に大きな影響を及ぼしました。
人的被害につきましては、避難中の転倒により、1名の重傷者が発生しております。多くの住家被害が発生したにもかかわらず、人的被害を最小限にとどめることができたのは、市町村による迅速な避難情報の発令や、何より県民の防災に対する意識と地域の助け合いによるところが大きいと考えております。
公共土木施設の被害について調査は継続中でありますが、河川の溢水(いっすい)や越水(えっすい)、内水(ないすい)被害につきましては、国直轄河川の最上川で9箇所、県管理の52河川69箇所で発生し、建物や農地などへの浸水被害をもたらしたほか、河川施設の被害につきましては、県管理河川と市町村管理河川を合わせて152河川625箇所で護岸損壊等が発生しました。
道路につきましては、県管理道路と市町村管理道路を合わせて90路線342箇所で路肩欠損や法面崩壊などの被害が発生し、現在も32箇所で全面通行止めなどの規制が行われております。
被害額につきましても調査は継続中でありますが、これら公共土木施設の被害額については、現時点で県管理施設分で約220億6,000万円となっております。
農林水産関係につきましては、水稲や野菜、果樹等の農作物被害が約2,488ヘクタール、農地の法面崩壊や土砂流入、揚水機場の浸水など農地・農業用施設が1,517箇所、林道の法面崩壊など森林関係が758箇所など、32市町村で被害が確認され、被害額は約56億2,800万円となっております。
これらを合わせた現時点での被害総額は、約276億8,800万円で、本県の風水害被害としては、過去最大となっております。
また、教育関係施設や児童関係施設のほか、医療・福祉関係施設や事業所の建物などへの浸水等の被害も確認されております。
県としましては、大規模な災害の発生が懸念されたことから、7月28日21時30分に県災害対策本部を設置いたしました。第1回本部員会議では、市町村や関係機関と連携し、県民の命を最優先に避難等の安全確保に万全を期すことや、孤立集落の解消とライフラインの復旧に全力を挙げること、被害の全容把握に努めることなどを指示いたしました。
また、同日中に、県内の31市町村に対し、災害救助法の適用を決定いたしました。
断水への対応としましては、7月30日に陸上自衛隊第六師団に対して、尾花沢市及び大石田町への災害派遣を要請し、8月2日まで給水活動を行っていただいたほか、県でも両市町の乳児のいる世帯にミルク用の飲料水を配布するなどの支援を行いました。
私自身も、7月29日以降、県内各地の被災現場を視察し、被害に遭われた方々から、家屋の浸水被害や農作物被害の状況などについて、直接お話をお聞きしてまいりました。そのうえで、被害状況の全容把握はもとより、県民生活や経済活動への影響が大きい道路の通行止めの早期解消や、河川の被害拡大防止のための大型土のうの設置などの応急復旧対策のほか、市町村の災害復旧事業を支援するための職員派遣や、災害廃棄物の処理に係る助言などに取り組んでまいりました。農林水産被害につきましては、政府の災害復旧事業の対象とならない小規模な農地や農業用施設、林道などの被害の復旧に対する支援を実施することとしたところです。
政府に対しましては、7月31日に災害復旧事業の推進に向けた緊急要望書をとりまとめ提出するとともに、私から武田防災担当大臣に直接電話し、具体的な要望を行ったところです。大臣からは、山形県が激甚災害に指定される見込みであることや政府の対策パッケージによる支援の対象に含まれることを確認いたしました。その後、8月28日、本県の豪雨災害を含む7月末までの豪雨により、全国で発生した災害が激甚災害に指定されたところです。
以上、豪雨災害の状況とこれまでの対応について申し上げましたが、このたびの災害におきましては、市町村、消防はもとより、自衛隊や国土交通省等の関係機関から迅速な対応をいただきました。また、民間企業や団体から様々な御支援をいただいたほか、地域の方々や災害ボランティアの方々、中学生、高校生からも被災者支援に大きなお力添えをいただきました。こうした活動や御協力に心から感謝申し上げます。
今後とも、被災市町村をはじめ、政府や関係機関・団体と連携し、このたび提案した補正予算を御可決いただきましたならば、これを十分に活用し、政府の災害査定に向けた調査・測量・設計をはじめ、豪雨災害からの復旧・復興に、全力で取り組んでまいります。
提案いたしました議案は、令和2年度山形県一般会計補正予算(第5号)であります。
今回の補正予算は、令和2年7月豪雨への対応のため緊急に必要となる復旧関連の事業費を計上するものであります。
その内容としましては、第1に、「災害復旧関係」では、土木関係施設につきまして、災害復旧事業の速やかな実施に向けて、被災した道路や河川などの公共土木施設の調査、測量、設計を行うほか、河川の土砂の撤去や流木・倒木の処理、地すべり防止施設の緊急整備等を実施いたします。
また、農林関係施設につきまして、8月17日に発動した「大雨被害に対する緊急対策」に基づき、政府の災害復旧事業の対象とならない小規模な被害の復旧を市町村と一体となって支援するとともに、林地の土砂流出に係る工事等を実施いたします。
さらに、社会福祉施設につきまして、床上浸水の被害を受けた地域子育て支援拠点施設やデイサービスセンターの復旧を支援するとともに、県有施設の復旧工事を実施いたします。
第2に、「災害救助関係」では、住家に被害を受けた世帯への災害見舞金につきまして、これまでの支援内容を拡充し、被災者の生活再建を後押しいたします。また、災害救助法に基づく応急救助を実施するとともに、感染症法に基づき汚水流出地区の消毒経費の一部を負担いたします。
第3に、「被災者の生活再建支援」としまして、被災した住宅の復旧・修繕に対して市町村が補助する場合に、県が上乗せして支援いたします。
第4に、「政府の災害対策パッケージへの対応」としまして、経済産業省の「なりわい再建補助金」を活用し、甚大な被害を受けた中小企業等が行う施設復旧に要する資材・工事費、設備調達や移転設置費、取壊しに係る経費等を支援いたします。
第5に、「安全確保に向けた取組みの強化」としまして、今後の豪雨災害に備え、防災重点ため池の保全管理強化に向けた資機材を整備するとともに、山地災害に対する一層の意識醸成を図るため、山地災害危険地区マップ等を配備するとともに、地元説明会を開催いたします。
この結果、今回の一般会計補正予算総額は、81億7,800万円となり、今年度の累計予算額は、7,103億8,200万円となります。
以上が、今回提案いたしました議案の概要でありますが、内容の詳細につきましては、議事の進行に従いまして、関係部課長より御説明申し上げますので、よろしく御審議のうえ、御可決くださいますようお願いいたします。