更新日:2024年9月18日

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9月定例会(令和6年9月18日)

県議会9月定例会の開会に当たり、提案いたしました議案の説明に先立ち、一言申し上げます。

はじめに、7月25日からの大雨による災害への対応等について申し上げます。

7月25日から26日にかけて、庄内地域や最上地域を中心に線状降水帯が2度発生し、大雨特別警報が7市町村に発表され、複数の観測地点で1日の降水量が過去最大となるなど、これまでに経験したことのない大雨となり、本県に甚大な被害をもたらしました。

この大雨により、3名の方がお亡くなりになり、1,751棟の住家が被害を受けました。お亡くなりになられた方々と御遺族に対し、深く哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた皆様に、心からお見舞いを申し上げます。

被害額は、公共土木施設、農林水産業、商工業関連及び教育施設関連を合わせ、現段階で1,043億円を超え、本県の自然災害として、過去最大となる見込みです。

県の対応としましては、大雨特別警報が発表された25日当日に災害対策本部を設置し、県内の16市町村に災害救助法を同日付けで適用しました。

私自身も、これまで8回にわたり被災現場を訪問するなどして、地元市町村長や被害に遭われた方々から、当日の状況、住家被害、農作物被害の状況などについて、直接お話をお聞きしてまいりました。

そのうえで、被害の全容把握はもちろんのこと、被災市町村や関係機関と連携し、県民生活・経済活動に及ぼす影響が最小限となるよう、道路の通行止めの早期解消や河川の応急復旧等の応急対策に取り組んだところです。また、保健師の派遣により避難生活における健康面の管理などに取り組んだほか、被災された方々の生活再建のため、応急仮設住宅の供与に向けた準備も進めているところであります。

被害を受けた農林水産業に対しては、政府の災害復旧事業の対象にならない小規模な被害への復旧支援など、営農継続と再生産に向けた対策を講じているほか、中小企業・小規模事業者への支援につきましては、特別金融相談窓口の設置や、商工業振興資金による低利融資を開始しております。

また、住家に著しい被害を受けた被災者に対して支援を行う政府の「被災者生活再建支援法」を酒田市、戸沢村及び遊佐町に適用しました。

政府に対しては、災害復旧事業の推進に向けた緊急要望書をとりまとめ、7月31日には、ウェブによる緊急要望を行ったところです。

8月6日には、森田県議会議長や市長会、町村会とともに、岸田内閣総理大臣をはじめ、総務大臣、財務大臣、国土交通大臣、防災担当大臣及び農林水産副大臣と直接面会し、災害復旧事業の推進や充分な財政措置等について、要望を行ってまいりました。

また、防災担当大臣や農林水産副大臣、農林水産大臣政務官から実際に現地を視察いただき、私から改めて、早急な復旧に向けた支援の要請を行ったところです。

そうしたところ、9月6日、政府は、このたびの大雨による災害について、激甚災害に指定することを閣議決定されました。

以上、7月25日からの大雨による災害とこれまでの対応状況について申し上げましたが、市町村、消防、警察はもとより、自衛隊や政府の関係機関から迅速な対応をいただき、企業や団体、ボランティアの方々からも、被災者支援に多大なるお力添えをいただきましたことに、改めて、深く感謝申し上げます。

今後とも、関係の皆様と連携し、被災者の生活再建、道路、河川、農地等の復旧、災害からの復興に全力を挙げて取り組んでまいります。

次に、パリ2024オリンピック・パラリンピックについて申し上げます。

パリ2024オリンピック・パラリンピックは、私たちの心を打つ、数々の感動のドラマを生み、閉幕しました。

本県出身者からは、オリンピックに4名の選手、パラリンピックに1名の選手が出場し、世界最高峰の舞台で、思う存分持てる力を発揮してくれました。選手の皆様の、凛とした姿や気迫あふれる戦いぶりは、県民に、言葉では言い表せないほどの勇気と感動を届けてくれました。

中でも、レスリング競技に出場した山形市出身の鏡優翔選手が、女子76kg級では日本人初となる金メダルを獲得されたことは、まさに快挙であり、心よりお祝い申し上げます。

今回の金メダル獲得をはじめ、世界を舞台に数々の輝かしい成績を収めてこられた鏡選手の功績をたたえ、山形県県民栄誉賞を贈呈することを決定いたしました。鏡選手の今後益々の御活躍を期待しております。

そして、県民に明るい話題を提供し、積極果敢に挑むチャレンジ精神を、身をもって示してくれた選手の皆様に心から感謝申し上げますとともに、今後のさらなる御活躍を期待しております。

次に、経済の動向、農作物の生育状況並びに当面の県政課題について、順次、御説明申し上げます。

【経済の動向】

はじめに、経済の動向について申し上げます。

我が国の経済につきましては、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復しております。

県内をみますと、個人消費につきましては、サービス消費を中心に底堅い動きとなっております。鉱工業生産は、半導体関連製品の受注減少の影響が続いていることなどにより、弱含みの動きとなっております。雇用は、あらゆる産業分野で人手不足感が続いており、有効求人倍率は高い水準で推移しております。

このように、本県経済につきましては、緩やかに持ち直しているものの、このところ弱含みの動きとなっているところです。

今後の先行きにつきましては、食料品をはじめとする物価の上昇や最近の為替の変動などが経済に与える影響も懸念されます。

県としましては、国内外の情勢や県民生活・企業活動への影響を引き続き注視するとともに、全国知事会などを通して政府の対応を求めつつ、市町村とも連携しながら、必要な対策を迅速に進めてまいります。

【農作物の生育状況】

次に、農作物の生育状況について申し上げます。

7月25日からの大雨の影響で農作物にも甚大な被害がありました。県では、関係機関と連携し、被害状況の把握や生育への影響の調査を行うとともに、収量・品質の確保に向けた技術指導を行っているところです。

水稲につきましては、昨年の一等米比率の大幅な低下を受け、気象や生育ステージに対応した栽培管理等を呼びかけてまいりました。現在、刈取り作業が本格化しており、適期内の刈取りと丁寧な乾燥調製を徹底し、最高の品質のおいしいお米に仕上げ、消費者の皆様にお届けしたいと考えております。

果樹につきましては、「シャインマスカット」をはじめとした大粒種のぶどうが収穫期を迎えており、食味の良い果実が出荷されております。また、りんごや西洋なし、柿などについては、概ね平年並みに生育しています。えだまめ、ねぎなどの野菜につきましては、現在、収穫が順調に進んでおり、りんどう、きく等の花きにつきましても、秋彼岸の需要期に向けた出荷が順調に行われております。

今後も農作物の生育状況の的確な把握に努めながら、適切な栽培管理が行われるよう、引き続き技術指導の徹底を図ってまいります。

【当面の県政課題】

次に、当面の県政課題について申し上げます。

はじめに、さくらんぼ高温被害緊急支援について申し上げます。

今年のさくらんぼは、昨年の高温の影響で双子果が多数発生しました。さらに、6月上旬からの高温の影響で収穫期が早まり、適期も短くなったことに伴い、障害果が発生し、収穫ロスが多くなりました。

その結果、収穫量は平年を大きく下回る8,700トンの見込みとなり、大変重く受け止めております。その被害の実情などについては、JA山形中央会などから、直接お聞きしたところです。

こうした状況を踏まえ、県では、高温に対応できる「強靱な産地づくり」に向けて、総合的な高温被害緊急支援を実施してまいります。

具体的には、双子果や高温障害の発生要因の解明・対策技術の開発と普及、収穫期の集中を避けるための「佐藤錦」から「やまがた紅王」や「紅秀峰」などへの品種転換の促進に加え、当面の対応として、高温対策に必要な遮光資材、散水施設などの資材・設備の導入を支援してまいります。

さくらんぼは、本県を代表する大切な農産物であり、生産者の皆様がこれからも希望を持って生産を続けることができるよう、市町村やJA等の関係機関・団体と連携し、こうした対策にしっかりと取り組んでまいります。

次に、東北公益文科大学の公立化と機能強化について申し上げます。

東北公益文科大学は、平成13年4月に、公設民営の大学として開学しました。以来、多くの卒業生を輩出しており、若者の地元定着の観点からも、庄内地域のみならず、県全体にとっても重要な高等教育機関であると考えております。

同大学の公立化と機能強化については、地元からの要望を受け、県と庄内地域2市3町で協議を進め、今般、公立化における主要な課題である「設立団体の考え方」「財政負担のあり方」「機能強化の方向性」について、首長間で合意に至ったことから、去る8月8日に、県、2市3町及び学校法人東北公益文科大学の間で、東北公益文科大学の公立化及び機能強化に関する基本合意書を取り交わしたところです。

今後は、令和8年4月の公立化を目指し、県、2市3町及び学校法人東北公益文科大学による準備組織を立ち上げ、公立大学法人の運営体制、中期目標、機能強化などについて検討を進め、認可手続きをはじめとする公立化の準備を進めてまいります。

社会や地域を取り巻く環境が大きく変化する中、東北公益文科大学がより魅力的で特色ある大学として、地域の課題解決や活力の向上に、より一層貢献することができるよう、公立化と機能強化に向けて、関係者一丸となってしっかりと取り組んでまいります。

次に、令和7年度県政運営の基本的考え方について申し上げます。

本県においては、少子高齢化を伴う人口減少が加速しており、多くの産業分野で人手不足が深刻化するなど、県民生活や地域経済に様々な影響を及ぼしております。

こうした状況において、人口減少のスピードの緩和に粘り強く取り組むとともに、当面の人口減少が避けられない中で、デジタル技術の活用や関係人口・交流人口の拡大などにより、暮らしの質や地域社会の活力を維持・向上していくことが重要となります。

また、頻発・激甚化する災害への対応はもとより、気候変動や超高齢社会への備えなど、県民の暮らしと経済活動の基盤となる安全・安心の確保に向けて、取組みを着実に進めていく必要があります。

こうした考え方のもと、来年度の予算編成や組織機構等の検討に先立ち、このたび「令和7年度県政運営の基本的考え方」の案をお示しいたしました。

具体的には、「第4次山形県総合発展計画」の次期実施計画の策定を念頭に、「中長期を見据えた『人口減少対策』の強化」、「時代の変化を推進力とした『産業の稼ぐ力の向上』」、「様々なリスクへの対応強化による『安全・安心の確保』」の3つを主な方向性として施策を展開してまいります。

さらに、部局や分野の枠を越えた政策横断的な対応や、新たな技術・国内外の活力等の取り込み、多様な主体との連携を重視しつつ、新たな取組みにも積極的に挑戦していくことで、「人と自然がいきいきと調和し、真の豊かさと幸せを実感できる山形」の実現を目指してまいります。

今後、この案につきまして、県民の皆様、県議会の皆様から広く御意見をいただき、それらを十分に踏まえたうえで「令和7年度県政運営の基本的考え方」を策定し、来年度の予算編成等に臨んでまいります。

【議案の概要】

次に、このたび御審議いただく議案の概要について御説明申し上げます。

提案いたしました議案は、令和6年度山形県一般会計補正予算(第2号)など、22件であります。

まず、一般会計補正予算案について申し上げます。

今回の補正予算案は、大雨による災害への対応として、社会基盤の復旧、被災者の生活再建支援等を実施するとともに、長引く物価高騰の影響を大きく受ける生活者・事業者への支援、さらには、高温下におけるさくらんぼの安定生産に向けた緊急支援など、本県が現在抱える様々な課題に対応するため編成したものであります。その主なものについて申し上げます。

第1に「大雨による災害への対応」としまして、まず「災害復旧関係」では、土木関係施設・農林水産関係施設の復旧工事のほか、床上浸水等の被害を受けた社会福祉施設の復旧支援を実施してまいります。

「被災者の生活再建」に向けては、応急仮設住宅の供与のほか、本県独自の制度による被災者生活再建支援を行ってまいります。また、浸水等の被害により、多くの世帯において、生活に必要な家財が失われたところです。被災した方々の生活家電の購入を助成することで、生活再建をさらに後押ししてまいります。

「中小企業等の事業再建」に向けては、被害を受けた中小企業・小規模事業者が行う施設・設備等の復旧などの取組みを支援してまいります。

そして、このたびの大雨では、救助要請を受け出動した新庄警察署のパトカーが増水した川の水に流され、警察官2名が殉職するという大変痛ましい事態が発生しました。これを受け、現場での活動に従事する全ての警察官にいきわたる数量のライフジャケット及び水難救助活動用ヘルメットを緊急的に整備し、災害発生時等における全警察官の安全を確保いたします。

第2に「物価高騰の影響を受ける生活者・事業者への支援」としまして、低所得世帯に対する冬季の灯油購入費等の助成に対し、臨時的な上乗せを行うほか、子ども食堂やフードバンク活動を展開する団体の運営に対する支援、さらに、医療機関や農林水産業などの事業者に対する支援を行ってまいります。

第3に「諸課題への対応等」としまして、高温下におけるさくらんぼの安定生産に向け、高温対策に必要な資材・設備の導入支援、収穫期の集中を分散させるための「佐藤錦」からの品種転換の支援などの緊急支援を行うほか、東北公益文科大学に係る公立大学法人の設立準備や機能強化、入学者確保に取り組んでまいります。

また、感染症法の改正を踏まえ、新興感染症の発生・まん延に平時から備える体制を構築するため、医療機関における感染防止等に必要な施設・設備の整備に要する経費を追加いたします。

第4に「社会資本整備の着実な推進」を図るため、土木・農林関係の公共事業のうち、当初予算を上回る国庫の内示を受けた事業について、事業費を増額いたします。

この結果、今回の一般会計補正予算案の総額は、697億2,000万円となり、今年度の累計予算額は、7,198億6,545万6千円となります。

次に、予算以外の議案の主なものについて御説明申し上げます。

山形県事務処理の特例に関する条例等の一部を改正する条例の設定につきましては、建築基準法の一部改正に伴い、規定の整備を図るためのものであります。

山形県教育委員会委員の任命につきましては、委員の任期満了に伴い、提案の者を適任と認め、御同意をお願いするものであります。

以上が、今回提案いたしました議案の概要ですが、内容の詳細につきましては、議事の進行に従いまして、関係部課長より御説明申し上げますので、よろしく御審議のうえ、御可決くださいますようお願いいたします。

なお、令和5年度一般会計及び公債管理特別会計など10特別会計、並びに流域下水道事業会計など6公営企業会計の決算につきましては、監査委員の審査意見書を付し、今会期中に提出いたしますので、よろしく御審議のうえ、御認定くださいますようお願いいたします。

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