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更新日:2024年2月20日
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令和6年県議会2月定例会の開会に当たり、一言申し上げます。
1月1日に発生した令和6年能登半島地震は、石川県を中心に甚大な被害をもたらしました。このたびの災害によりお亡くなりになられた方々とその御遺族に対し、深く哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に、心からお見舞いを申し上げます。
当日は、本県でも、最大震度4を記録し、庄内の沿岸3市町に津波警報が発表されました。幸いにも大きな被害報告はありませんでしたが、被災地支援のため、地震発生直後から、市町村と連携し、飲料水や液体ミルク、毛布などの支援物資をお送りしたほか、被災者の方々に対し、避難用の住居として、県営住宅等の無償提供を申し出ているところです。また、DMAT・DPATといった医療チームや被災保健所支援などを行うDHEAT、被災者の健康面をサポートする保健師に加え、警察官や応援職員を適宜派遣してまいりました。
現在も、被災地では懸命な復旧作業が進められているところです。
県としましては、引き続き、政府及び全国知事会等と連携しながら、被災地のニーズをしっかり把握し、復旧に向けて可能な限り支援を行ってまいります。
今回の能登半島地震をはじめ、近年、全国各地で大規模な自然災害が頻発しております。今後も、地震や津波、豪雨などによる様々な災害が、いつ、どこで起きても不思議ではありません。
本県におきましても災害に備えるための取組みを行い、より一層、県民の防災意識の向上を図っていく必要があると考えております。
このため、東日本大震災が発生した3月11日を、県民が防災に向けた備えについて点検を行う日「県民防災デー(防災点検の日)」として定めたところであります。家庭等での備蓄品の点検を通して、県民一人ひとりが防災について考えるとともに、地域や身近にいる人同士が助け合う「共助」の仕組みを確認していただき、災害時の具体的な行動につながるようにしてまいりたいと考えております。
県としましては、今後も引き続き、県民が安心して生活できるよう、市町村や関係機関と連携しながら、防災対策の充実・強化にしっかりと取り組み、災害に強い県づくりを行ってまいります。
いよいよ明日から「やまがた雪未来国スポ」が開幕いたします。
各会場とも無事本番を迎える準備が整ったところであり、大会の幕開けを待つのみとなりました。
参加される選手の皆様には、これまで積み上げてきた練習の成果を余すことなく発揮し、活躍されることを心から期待しております。
また、本大会は参加総数を延べ3万8千人と見込んでおり、全国から来県される皆様に、食や温泉など、本県の魅力を感じていただく絶好の機会となります。県としましては、山形らしい温かなおもてなしでお迎えし、本県の素晴らしさを存分にお伝えしてまいりたいと考えております。
本県での大会の成功、ひいては本県選手の活躍が、県民に夢と希望を与え、県勢発展の大きな弾みとなるよう、大会運営に万全を期してまいります。
それでは、提案いたしました議案の説明に先立ち、県政運営の所信を申し上げ、議員各位並びに県民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。
今、私たちは、急速に変化する時代の入り口に立っています。
私たちを長く苦しめてきた新型コロナウイルスが感染症法上の5類へと移行し、社会経済活動の正常化が進んでおります。世界を見渡しますと、今なお続くロシアによるウクライナ侵略や、予断を許さない中東情勢など緊張が高まる一方で、グローバル・サウスと呼ばれる途上国・新興国の台頭により、国際社会の多様化が進んでおります。また、こうした情報は映像とともに、世界中に広がるネットワークを介して瞬時に共有されるようになりました。デジタル技術の進展と普及は、コミュニケーションや仕事、社会の有り様を大きく変容させ、人々のライフスタイルや価値観の多様化に拍車をかけております。
かつて、空想の世界で夢として描かれていたリアルとバーチャルが融合する世界が現実のものとなり、生成AIや自動運転といったデジタル技術は、日々驚異的な進化を遂げながら、日常生活の様々な場面に浸透してきております。さらには、経済成長を優先し、化石燃料を大量消費したことなどにより、地球規模の気候変動が引き起こされ、「地球沸騰化」とも言われる時代が到来するなど、時代は大きく変化しております。
このような時代認識の中、本県の最重要課題である人口減少は、依然として歯止めがかからず、あらゆる分野で担い手不足が顕在化しております。昨年末に国立社会保障・人口問題研究所から公表された地域別将来推計人口によりますと、本県の人口は、30年間で3割以上減少すると推計され、今後の人口減少は避けられないという実態が改めて浮き彫りとなりました。
こうした状況を正面から受け止めつつ、本県が持続的に発展していくために必要となるのは、「変革への果敢な挑戦」であると考えます。時代の変化を前向きに捉え、柔軟な発想と勇気ある行動で、ピンチをチャンスに変えていくような県民一人ひとりの挑戦が、人口減少下にあっても、本県が発展していくための原動力になるものと確信しております。
進化論を唱えたダーウィンは、「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一、生き残るのは変化できる者である。」という考えを示したと言われております。
この言葉を証明するかのように、かつての先人たちも、様々な社会環境の変化に適応しながら、困難を乗り越え、挑戦をしてきたからこそ、現在の山形県があり、普遍の価値を有する地域資源が私たちに受け継がれてきたのであります。
未知の領域に足を踏み入れ、開拓していくことは、リスクや困難を伴いますが、乗り越えたその先にこそ、本県の輝く未来が拓けていくと思いますし、そうした輝く未来を、若い世代、さらには、これから生まれてくる子どもたちに紡いでいくことが、現代に生きる私たちの責務であると考えております。
こうしたことを踏まえ、これからの県づくりにおきましては、県民一人ひとりの積極的なチャレンジを後押しし、さらには困難を乗り越えて何度でも挑戦することを応援する寛容性の高い社会を築いていくことが重要であると考えます。
また、性別や年齢、国籍等に関わらず、誰もが個性や能力を十分に発揮できる包摂性の高い共生社会を形成するとともに、異なる個性や能力を県勢発展の力に取り込みながら、多様性に富み、変化に柔軟な県づくりを進めていくことが必要となります。
こうした県民一人ひとりのチャレンジと、多様な個性や能力が融合することにより、新たなフロンティアを切り拓き、国内外を魅了する固有の価値を生み出し続けることで、山形県の持続的な発展がもたらされるものと考えております。
令和6年度の県政運営に当たりましては、こうした県づくりの実現に向け、「令和6年度県政運営の基本的考え方」に掲げた4つの視点に基づき「未来志向の県づくり」を力強く推進してまいります。
今般の能登半島地震はもとより、近年、本県でも集中豪雨や豪雪、地すべりなどが発生しております。こうした自然災害に備えるため、県民に寄り添いながら、ハード・ソフト両面から災害に強い県づくりを進めてまいります。
また、県民誰もがデジタルの利便性を享受できるよう、「アナログ」と「デジタル」を柔軟に組み合わせたサービスの提供による暮らしの快適性・利便性の向上に向けた取組みを推進してまいります。
さらに、安全・安心な生活を送るためには、保健、医療、福祉基盤の充実が不可欠でありますので、健康づくりや持続可能な医療提供体制の確保、平時からの新興感染症対策など、地域全体でいきいきと生活できる環境づくりを進めてまいります。
総合的な少子化対策の一層の推進に向けて、政府の「こども未来戦略」とも連動しながら、市町村との連携のもと、結婚、妊娠・出産、子育ての各段階における、きめ細かな支援を充実させてまいります。
また、若者・女性の県内定着・回帰を図るため、若者や女性の志向を捉えた魅力的な雇用の創出を図るとともに、「ワーク・ライフ・バランス」を推進するなど、働きやすい職場づくりを社会全体で進めてまいります。
さらに、多様性の尊重についての県民の理解を促すほか、地域や企業における男女共同参画や女性活躍を一層推進していくことで、誰もが個性や能力を十分に発揮できる社会を目指してまいります。
これからの地域経済を担う若者の意欲ある挑戦を後押しするため、若者が主体となったスタートアップやソーシャルビジネスの創出を促進してまいります。
また、デジタルやグリーンなど、本県の新たな成長に繋がる技術を積極的に取り込みながら、産業振興のためのDXや、カーボンニュートラルの実現に向けた流れを経済発展へと結びつけるGXを推進していくとともに、新たなマーケティング手法による戦略的な観光誘客や、気候変動に対応した環境と調和のとれた農林水産業の推進など、産業イノベーションを加速してまいります。
さらには、旺盛なインバウンド需要を本県に取り込むため、豊かな自然や食、精神文化など、世界に誇れる本県の観光資源を一層磨き上げ、付加価値の高い観光地域づくりを推進し、地域の賑わいと活力を創出してまいります。
地方への移住に関心を持つ若い世代から本県を移住先として選んでいただけるよう、市町村や関係団体との連携を強め、山形暮らしの魅力を積極的に発信してまいります。
また、来年度を「多文化共生元年」と位置づけ、外国人材の円滑な受入体制と能力を発揮できる環境の整備を進めるとともに、これからの多文化共生社会の望ましい姿をしっかりと描きながら、受入拡大・定着促進を図ってまいります。
このほか、生活利便性の向上や、産業・観光など地域経済の発展の基盤となる交通ネットワークの充実強化は極めて重要であります。とりわけ、山形新幹線米沢トンネル(仮称)は本県の発展に直結する、未来を拓く希望のトンネルです。JR東日本や本県選出国会議員の皆様、市町村や産業界など、関係者一丸となって、早期実現に向けた取組みを着実に進めてまいります。
私は、これまで、県民の皆様の幸せと県勢発展を願い、「県民視点」「現場主義」「対話重視」を基本姿勢に、県政運営を行ってまいりました。令和6年度の県政運営に当たりましても、県民の皆様に寄り添いながら、変化を前向きに捉えた積極的な挑戦を後押ししていくことで、「人と自然がいきいきと調和し、真の豊かさと幸せを実感できる山形」を実現してまいりたいと考えております。
令和6年度の政府の地方財政計画につきましては、長引く物価高や深刻化する少子化への対応が求められる中、地方が、住民のニーズに的確に応えつつ、様々な行政課題に対応できるよう、地方一般財源総額について、令和5年度を上回る額が確保されました。
一方で、本県の一般財源につきましては、地方交付税は前年度をやや上回るものの、政府の地方財政計画による税収見込み等を踏まえた結果、地方消費税を中心に県税収入が減少に転じたこと等により、引き続き厳しい予算編成を余儀なくされたところであります。
他方で、社会経済環境は、物価高や激甚化する自然災害、国際社会の大きな変動、加速するDX・GXなど様々な変化や価値観を生み出しています。
この度の当初予算案は、こうした時代の変化や直面する課題に対応しながら、未来を見据え、安全・安心を土台に、県民誰もが個性や能力を発揮でき、将来にわたって地域の活力が持続する県づくりを力強く推進していくため、「人に寄りそい未来を見すえた県づくり予算」として編成したところであります。
それでは、新年度における主要施策の概要について、「令和6年度県政運営の基本的考え方」に掲げる4つの視点に沿って御説明申し上げます。
小中学生の通学時における緊急時の連絡手段を確保するため、市町村を通じた生活保護世帯への携帯電話等の購入支援を新たに実施いたします。
収束の見えない物価高により、厳しい経済状況にある低所得世帯の負担軽減を図るため、引き続き、冬の灯油購入費用等を支援するほか、ひとり親世帯に対する県産米の提供を行ってまいります。
生息域が拡大しているイノシシによる農作物被害対策を引き続き進めていくほか、市街地や人里においてクマによる人身被害が発生していることを踏まえ、市町村と連携しながら、クマの出没防止のための対策を新たに講じてまいります。
このたびの能登半島地震を踏まえ、市町村が、津波避難路の夜間照明整備について計画を前倒しして取り組めるよう後押しするとともに、地震による家屋倒壊から命を守るための緊急対策として、新たな住宅リフォーム制度を創設いたします。
また、村山地域の全消防本部で実施される、救急医療情報システムの令和6年度からの試験的導入に向けた取組みを支援してまいります。
介護現場の人手不足が深刻化する中、ワンストップ型の相談窓口としての機能を持つ「介護生産性向上総合支援センター(仮称)」を新たに設置し、介護事業所の生産性向上や人材確保を図ってまいります。
昨年4月に施行された「こども基本法」を踏まえ、子どもや若者をはじめ、子育て中の方、子育てを応援する団体などの意見を幅広くお聴きするための新たな仕組みを構築し、頂いた御意見を令和6年度に策定する予定の「山形県こども計画(仮称)」に反映させてまいります。
不妊を心配される御夫婦が早期に検査を受け、必要に応じて適切な不妊治療が受けられるよう、支援の充実を図るほか、保育士が育児休業を取得しやすく、働き続けられる職場環境を整備してまいります。
屋内スケート施設につきましては、今年度実施している基礎調査の結果を踏まえ、有識者等から意見を聴取するなど、整備に向けてさらなる検討を深めてまいります。
また、県立博物館の移転整備に向け、基本構想の策定に必要となる基礎調査等を開始するとともに、移転までの期間を見据え、現在の県立博物館における展示パネル・照明の更新等を実施してまいります。
現実世界と仮想世界を融合し、新しい体験を創造する技術であるXR(クロスリアリティ)を用いた、デジタル人材の育成と新ビジネスの創出を図り、若者・女性の県内定着、産業の高付加価値化につなげてまいります。
また、インターネット上に構築された仮想空間であるメタバースの市場規模は、今後急激に拡大することが期待されていることから、本県の高品質な農林水産加工食品をメタバース上の展示会に出展し、新たな商談機会を創出してまいります。
県内企業の経営者は、その平均年齢が全国的にも高い水準にある一方、半数は後継者の目途が立っておらず、事業承継が喫緊の課題となっているため、山形県事業承継・引継ぎ支援センター等と連携し、県内企業の円滑な事業承継を促進してまいります。
農業分野における人手不足に対応するため、農繁期が異なる他県と連携した外国人材のリレー派遣に試行的に取り組んでまいります。
水産業振興の要となる県漁業協同組合の経営基盤を強化するため、県産水産物の加工・販売の推進や蓄養による高付加価値化など、収益性の向上に向けた取組みを支援してまいります。
県内への移住を促進するため、移住者への「米、味噌、醤油1年分」の提供を、県が直接行うこととするとともに、県独自の支援金制度を創設することで、若者や子育て世帯を中心に、より一層移住者を呼び込んでまいります。
県立高等学校の活性化に向けて、県外からの入学者の受入れを推進するため、志願者やその保護者の方を対象とした学校見学バスツアーなど、新たな取組みを実施してまいります。
あらゆる産業分野において人手不足が深刻化する中、今後ますます外国人材の受入拡大が進むことが想定されることから、日本人も外国人も地域の一員として、共に認め合い共生する地域社会の実現に向けて、「多文化共生推進プラン(仮称)」の策定に取り組んでまいります。また、外国人も暮らしやすい環境を作っていくため、様々な交流事業等を通して、外国人と地域住民とのふれあいを深めるための取組みを進めてまいります。
本県の大きな強みである「ラーメン県そば王国やまがた」の取組みを核として、デジタル技術を活用したマーケティングを行い、個々人の嗜好に沿った旅の提案による周遊型観光を促進してまいります。
また、令和7年の「さくらんぼ栽培150周年」に向けたプロモーションを展開するとともに、最上川ふるさと総合公園に整備を予定しているフルーツ・ステーションの事業者公募の準備のほか、ネットワーク化に向けた調査検討や各地域・市町村の取組みへの支援を行ってまいります。
多額の事業費が見込まれる山形新幹線米沢トンネル(仮称)の整備につきましては、将来の整備費用への負担に備えるための基金を新たに造成いたします。
これら施策を推進するため所要の予算を計上した結果、一般会計当初予算案の総額は、6,498億3,200万円となりました。
また、公債管理特別会計など10特別会計予算案は、合計で2,483億8,099万円余となりました。
財政運営について、今後を展望いたしますと、依然として多額の財源不足が生じる厳しい状況が見込まれることから、やまがた創造の取組みや産業振興を通して、県民所得の向上、県内経済の成長につながる好循環を生み出し、県税収入の増加を図っていくことが極めて重要であると考えております。
そのうえで、今回の予算編成と同時に策定した「山形県財政の中期展望」におきまして、歳入面では、県有財産の売却や有効活用の促進、基金や特別会計の利用見込みのない資金の活用等を図り、歳出面では、事務事業の見直し・改善や、行政経費の節減・効率化など、徹底した歳出の見直しに取り組むこととしております。
こうした歳入・歳出両面からの対策を講じつつ、中長期的な財政健全化を推進するため、県債残高の減少と調整基金の確保に引き続き努めてまいります。
次に、令和5年度2月補正予算案について御説明申し上げます。
まず、政府の補正予算への対応としまして、12月補正予算において、物価高対策や、防災・減災、国土強靱化の推進のための公共事業等を追加したところですが、その後の政府からの内示状況や事業費の精査等を踏まえ追加・整理いたします。
また、小中学校等における1人1台端末の更新に必要な財源として交付される国庫補助金を基金に積み立てるほか、介護職員及び障がい福祉職員の処遇改善に係る経費への支援を行うなど、個別課題にも対応してまいります。
こうした対応に、今年度の執行実績等に伴う補正を合わせますと、一般会計の2月補正予算案の総額は、612億2,200万円の減額となりました。
繰越明許費につきましては、ただいま申し上げた政府の補正予算への対応など、総額で15億5,921万円を増額補正いたします。
次に、予算以外の案件の主なものについて御説明申し上げます。
山形県手数料条例の一部を改正する条例の制定につきましては、建築基準法施行令の規定に基づく建築物の敷地と道路との関係に関する適用除外に係る認定の申請をする者等から手数料を徴収するとともに、危険物取扱者試験手数料等の額の適正化を図る等のためのものであります。
山形県病院薬剤師奨学金返還資金貸与条例の設定につきましては、県内の病院に勤務する薬剤師の確保を図るため、新たに県内の病院において薬剤師の業務に従事することとなった者に奨学金の返還に必要な資金を貸与するためのものであります。
以上が、今回提案いたしました議案の概要でありますが、内容の詳細につきましては、議事の進行に従いまして、関係部課長より御説明申し上げますので、よろしく御審議のうえ、御可決くださいますようお願いいたします。
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