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更新日:2022年9月16日
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県議会9月定例会の開会に当たり、提案いたしました議案の説明に先立ち、一言申し上げます。
8月3日からの大雨は、東北地方や北陸地方を中心に、各地に甚大な被害をもたらしました。お亡くなりになられた方々と御遺族に対し深く哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。
本県におきましても、8月3日から4日にかけて、置賜地域を中心にこれまでに経験したことのないような大雨となりました。県内で初となる大雨特別警報が7市町に発表され、1日の降水量が過去最大を観測した地点も複数ありました。
飯豊町で未だ1名の方が行方不明となっておりますので、一刻も早く見つかることを心から願っております。
現段階での被害額は、県分・市町村分などを合わせますと、474億円を超え、本県の風水害として、過去最大となる見込みです。
県の対応としましては、大雨特別警報が発表された3日19時15分に、災害対策本部を直ちに設置し、同日中に、県内の10市町に、災害救助法を適用いたしました。
私自身も、5日には、被災現場を訪問し、被害に遭われた方々から、直接お話をお聞きしたうえで、道路の通行止めの早期解消や、河川の応急復旧、市町村への職員派遣などに取り組んでまいりました。
農林水産被害は、政府の事業対象に該当しない小規模な被害への復旧支援など営農継続と再生産に向けた対策を講じております。
中小企業・小規模事業者への支援につきましては、特別金融相談窓口の設置や、商工業振興資金による低利融資を開始しております。
また、住家に著しい被害を受けた被災者に対して支援を行う政府の「被災者生活再建支援制度」が、川西町と飯豊町に適用となりました。
同制度が適用されない被災者の支援につきましては、市町村と連携した独自の支援制度も視野に入れ、検討してまいります。必要な予算につきましては、現在、精査しており、今会期中に提案してまいりたいと考えております。
政府に対しましては、災害復旧事業の推進に向けた緊急要望書をとりまとめ、8月5日に私から防災担当大臣と国土交通副大臣に対し、ウェブで要望を行ったところです。
また、被害状況の視察に来県された、防災担当大臣、国土交通大臣に対しても直接要望を行い、このたびの災害について激甚災害に指定される見込みとなりました。加えて、国道121号は、国土交通省において権限代行で応急復旧を実施していただくこととなりました。
さらに、8月29日には、復旧・復興対策等に万全を期すため、関係府省に対して、直接緊急要望を行ってまいりました。
また、JR米坂線の早期全面復旧に向け、JR東日本に対しても、要望活動を行ったところです。
以上、豪雨災害とこれまでの対応状況について申し上げましたが、市町村、消防はもとより、自衛隊や政府の関係機関から迅速な対応をいただき、企業や団体、ボランティアの方々からも、お力添えをいただきました。こうした活動や御協力に心から感謝申し上げます。
今後も、政府や市町村、関係機関・団体と連携し、復旧・復興に全力で取り組んでまいります。
8月10日、11日に、北海道・東北地方では初となる第6回「山の日」全国大会が、蔵王を主会場に開催されました。
10日の蔵王記念登山や11日の記念式典等に数多くの皆様から御来場いただき、本県の山の魅力をはじめ、山を守り続ける人々の活動やその意義、将来の山や自然に対する子どもたちの想いなどを、県内外にお伝えしたところです。
県としましては、大会の成果を活かし、「やまがた百名山」を中心に山々の魅力を県内外に広く浸透させていくとともに、樹氷復活をはじめとする自然環境保全の活動が、将来世代にわたって息長く継続されるよう取り組んでまいります。
次に、経済の動向、農作物の生育状況並びに当面の県政課題について、順次、御説明申し上げます。
我が国の経済につきましては、緩やかに持ち直しております。
本県の状況について見ますと、個人消費につきましては、宿泊・飲食などのサービス消費で依然として弱含んでいるものの、総じてみれば持ち直しつつあります。鉱工業生産は増加基調にあり、雇用情勢も有効求人倍率が3年5か月ぶりに1.6倍台を回復し改善が進んでいるなど、本県経済は、総じてみれば緩やかに持ち直しております。
一方で、新型コロナの感染拡大、世界的な資源価格高騰や円安の進行による物価上昇など、県民生活・企業活動は依然として厳しい情勢下に置かれております。
県としましては、引き続き経済の動向を注視しつつ、政府・市町村と連携して、地域の実情に応じた施策を速やかに展開していくことが重要と考えております。
大雨により、置賜地域を中心に農作物の浸水・冠水、ほ場への土砂流入などが発生し、生育にも影響が生じましたが、県では、関係機関との連携により被害状況や生育への影響を把握するとともに、被害程度に応じた技術対策を徹底し、収量・品質の確保に努めているところです。
現在、水稲は、県内各地で刈取りの時期を迎えており、今年も高品質と良食味を確保するため、適期内の刈取りと適正な乾燥調製を徹底してまいります。
果樹につきましては、「シャインマスカット」が収穫期を迎えており、食味の良い果実が出荷されております。また、りんごや西洋なし、柿などの果実肥大は、概ね平年並みに進んでいます。
えだまめ、ねぎなどの野菜につきましては、現在、例年どおり収穫作業が進められ、りんどう、きく等の花きにつきましても、秋彼岸に向けて順調に出荷が行われています。
実りの秋を迎え、今後とも、農作物の生育状況の的確な把握に努めながら、適切な栽培管理が行われるよう、引き続き技術指導を徹底してまいります。
全国では、8月下旬以降、新規感染者数は減少傾向にあるものの、オミクロン株BA.5系統による感染拡大と高い感染レベルの継続により、病床使用率が高止まりし、地域によっては医療のひっ迫がみられるなど、厳しい状況が続いています。
本県におきましては、7月中旬以降、感染が急拡大し、病床使用率が一時50%を超え、医療機関や保健所業務もひっ迫したところです。
これを受け、9月1日より、重症化リスクのない方が検査キットで自己検査等を行い、発熱外来を受診せずとも陽性登録を可能とする体制の整備を図ったところです。
また、ワクチン接種につきましては、政府よりオミクロン株対応ワクチンの接種対象者や接種開始時期の基本的な考え方が示されたところであり、希望される方が適時適切に接種していただけるよう、市町村等と連携しながら、円滑な接種に向けた取組みを進めてまいります。
次に、新型コロナ感染者の全数把握の見直しについて申し上げます。
8月下旬以降、新規陽性者数は減少傾向にあるものの、依然として高い水準が続いており、医療機関と保健所のひっ迫回避は急施を要する状況にあります。
こうした状況を踏まえ、県では、政府による全国一律の全数把握見直しを座視することなく、9月9日には政府に対し、感染症法に基づく発生届の対象者を重症化リスクの高い方々に限定するための手続きを行い、去る14日から運用を開始したところです。発生届の対象外となる自宅療養者に対しては、新たに設置した「陽性者健康フォローアップセンター」において、体調不安や症状悪化時の相談対応等を行うとともに、とりわけ一人暮らしの方への支援に十分配慮してまいります。
今後も医療機関や保健所業務のひっ迫回避と、県民の命と健康を守る取組みの両立をしっかりと前に進めてまいります。
次に、経済活動の持続と回復に向けた取組みにつきましては、中小企業・小規模事業者への対応として、6月補正予算に引き続き、原材料・燃料費の高騰等の影響を踏まえ、県独自の給付金を支給してまいりますが、売上げが減少した事業者に加え、粗利が減少した事業者も対象に拡充したところです。
また、観光需要の回復に向けまして、「やまがた春旅・夏旅キャンペーン」に引き続き、9月からは「やまがた秋旅キャンペーン」を展開し、切れ目ない支援を実施しているところです。
今後も、感染状況や原油価格・物価高騰等の状況を見極めながら、県内経済の回復に向け、しっかりと取り組んでまいります。
米沢トンネル(仮称)につきましては、本年度から想定ルートの決定に向けた追加調査を行ってきたところであり、JR東日本との覚書及び包括連携協定の締結も予定しております。
これにより、トンネル整備の早期事業化に着実に取り組むとともに、山形新幹線の沿線はもとより、県内全域に亘って、地域活性化の取組みを推進することで、県内経済の発展や、県民生活の向上につなげてまいります。
現在の県立新庄病院は、大半が昭和50年に建てられた建物であり、老朽化や狭隘化、駐車場不足等、ハード面での課題を抱えております。また、ソフト面でも医療の高度化や多様化に対応した医療機能の充実を図る必要がありますので、新しい病院の建設を進めてまいりました。
建設工事は順調に進んでおり、今年度内に完了見込みでありますが、開院に向けた準備に半年ほど要することや、入院患者の移送を天候が穏やかなうちに行いたいこと、などを踏まえ、新病院は令和5年10月1日に開院することといたします。
新庄病院が、最上地域唯一の基幹病院として、将来にわたり地域の住民の皆様に信頼と安心を与える医療を提供するため、遺漏のないよう準備を進めてまいります。
長引くコロナ禍などにより、県民生活に様々な影響が生じている中、本県の構造的な課題である人口減少につきましては、今後も加速していくことが見込まれます。
このような状況において、持続的な発展に向け、デジタルやグリーンなどの未来につながる変化も捉えながら、国内外の活力を呼び込み、ウィズコロナ・ポストコロナの県づくりを推進していくことが重要であります。
こうした考え方のもと、来年度の予算編成や組織機構等の検討に先立ち、このたび「令和5年度県政運営の基本的考え方」の案をお示しいたしました。
具体的には、「未来の『やまがた』をつくる人材育成・確保」、「持続可能な成長に向けた産業の生産性向上・高付加価値化」、「県民が幸せを実感できる暮らしやすい『やまがた』へ」、「安全・安心な暮らしや交流を支える『やまがた強靭化』」、これら4つを施策展開の主な方向性とし、SDGsの視点も活かして、「人と自然がいきいきと調和し、真の豊かさと幸せを実感できる山形」の実現を目指してまいります。
今後、この案につきまして、県民の皆様、県議会の皆様から広く御意見をいただき、それらを十分に踏まえたうえで「令和5年度県政運営の基本的考え方」を策定し、来年度の予算編成等に臨んでまいります。
提案いたしました議案は、令和4年度山形県一般会計補正予算(第3号)など、36件であります。
今回の補正予算は、豪雨災害への対応とともに、原油価格・物価高騰等の喫緊の課題に対応するため、編成したものであります。
第1に、「令和4年6月から8月までの豪雨被害への対応」としまして、「災害復旧関係」では、土木関係施設や農林関係施設、さらに床上浸水の被害を受けた社会福祉施設などの復旧を支援いたします。
また、「災害救助関係」では、災害救助法を適用した10市町に対し、災害救助法に基づく応急救助を実施いたします。
第2に、「コロナ禍における原油価格・物価高騰等への対応」としまして、まず、原油価格・物価高騰の状況を踏まえ、引き続き中小企業・小規模事業者への緊急支援給付金、運送事業者や地域交通事業者に対する支援を行ってまいります。
また、農業者に対し、肥料価格や燃油価格の高騰の影響を緩和するため、価格高騰分の一部を支援いたします。
さらに、生活困窮者等への対策としましては、燃油価格高騰を踏まえ、低所得世帯の灯油購入費等に対し、県単独での臨時的な特別支援を行ってまいります。
これに加えまして、第3に、「ウィズコロナ・ポストコロナへの対応」も併せて行ってまいります。
テレワーク移住の支援など、新たな移住・定住施策を推進するほか、ポストコロナに向けたインバウンド誘客を推進いたします。
また、令和5年の「やまがた紅王」本格デビュー等に向けたPRのための検討・準備を行うとともに、これらを契機として、継続的に、県産フルーツの情報発信を行うための具体的な取組計画について、有識者等の御意見も伺いながら策定いたします。
さらに、GIGAスクール構想に基づき、県立学校のネットワーク強化を図ってまいります。
第4に、「新型コロナウイルス感染症への対応」としまして、PCR検査費用や宿泊・自宅療養中の医療費に対する公費負担を増額するほか、従業員数の少ない小規模事業者等において、事業継続を判断した際の抗原検査キット活用への支援を継続してまいります。
その他、「諸課題への対応等」としまして、今春の凍霜害・雹害等に対し、政府の支援の対象外となる品目について県単独の支援を実施するほか、山形新幹線米沢トンネル(仮称)の整備に向けたJR東日本との追加調査の実施にあたり、現在実施している地権者調査に加え、今後、ボーリング調査を実施するための県の追加負担分について、新たに債務負担行為を設定いたします。
加えまして、土木・農林関係の公共事業のうち、当初予算を上回る国庫の内示を受けた事業について、事業費を増額いたします。
この結果、今回の一般会計補正予算総額は、408億4,900万円となり、今年度の累計予算額は、7,310億7,700万円となります。
山形県手数料条例の一部を改正する条例の制定につきましては、教員免許更新制の廃止に伴い更新関係手数料を削除するとともに、建築基準法等の一部改正に伴い規定の整備を図るためのものであります。
山形県事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例の制定につきましては、建築基準法の一部改正に伴い、応急仮設建築物等の存続期間延長の申請受付事務を市町村へ移譲するためのものであります。
山形県教育委員会委員の任命、山形県土地利用審査会委員の任命につきましては、委員の任期満了に伴い、提案の者を適任と認め、御同意をお願いするものであります。
以上が、今回提案いたしました議案の概要でありますが、内容の詳細につきましては、議事の進行に従いまして、関係部課長より御説明申し上げますので、よろしく御審議のうえ、御可決くださいますようお願いいたします。
なお、令和3年度一般会計及び公債管理特別会計など10特別会計、並びに流域下水道事業会計など6公営企業会計の決算につきましては、監査委員の審査意見書を付し、今会期中に提出いたしますので、よろしく御審議のうえ、御認定くださいますようお願いいたします。
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