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更新日:2022年2月17日
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令和4年県議会2月定例会の開会に当たり、一言申し上げます。
今月4日に開幕した北京2022冬季オリンピックに、本県ゆかりの選手が6名出場しております。
先日行われたスピードスケート競技男子500メートルでは、山形中央高校出身の森重航選手が3位となり、銅メダルを獲得しました。冬季オリンピックにおいては、2010年バンクーバー大会の加藤条治選手以来、3大会ぶりのメダル獲得となる快挙であります。この喜びを県民の皆様と分かち合うとともに、森重選手には心からお祝いを申し上げます。本県関係選手の活躍は、県民に勇気と感動を与え、子供たちに夢と希望をもたらしてくれました。
今後も本県関係選手の競技が続きますので、県民の皆様とともに応援してまいりたいと思います。
新型コロナの感染者は、全世界で4億人を超えました。昨年11月に南アフリカで確認されたオミクロン株は、従来の株に比べ感染力が強いと言われており、今年に入り1日の新規感染者数が最多となる国や地域が相次ぐなど、パンデミックが続いております。
国内では、11月30日に初めてオミクロン株の陽性者が確認されて以降、感染者数の急速な増加がみられ、療養者数も急増しております。政府は1月9日に広島県、山口県、沖縄県の3県にまん延防止等重点措置を適用し、本日時点で36都道府県となっております。
一方、県内では、昨年末に1例目となるオミクロン株の陽性者が確認されました。その後、家庭内や親族間などで感染が広がる事例や、クラスターの発生も多数確認されるなど、感染の拡大傾向が続いており、現在は、感染の第6波の真っただ中にあります。
こうした状況を踏まえ、県全体の新たな注意・警戒レベルについて、1月7日にレベル1(注意)、1月19日にはレベル2(警戒)に引き上げましたが、その後も1日当たりの新規陽性者数が過去最多となる日が相次いで確認され、病床使用率の上昇のほか、宿泊療養者、自宅療養者が急増し、重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患を有する方にも感染が広がっていくなど、保健医療体制に対する負荷が大きくなりました。そのため、感染の早期抑え込みが重要と考え、政府に対し本県へのまん延防止等重点措置の適用を要請いたしました。
1月27日から山形市及び庄内地域の2市3町、また、2月3日から米沢市及び高畠町、さらに、2月9日から天童市を重点措置区域とし、不要不急の外出自粛や、飲食店等における営業時間の短縮、会食時の人数制限、学校活動の制限などを要請してきたところです。その結果、新規陽性者数が減少傾向にあることなどを踏まえ、昨日、政府に対し、まん延防止等重点措置の終了を要請いたしました。今後は、再拡大を防ぐための取組みに力を入れてまいります。
次に、PCR等検査体制について申し上げます。
県内でオミクロン株の陽性者が年末に確認されたことを踏まえ、陽性者の早期発見と感染拡大防止を図るため、県民の皆様にPCR等検査を受けていただくよう協力の要請を行うとともに、感染不安を感じる無症状の方を対象に当該検査を無料で実施しております。
実施期間につきましては、今月末までとしておりますが、今後の感染状況等を踏まえ、実施期間の更なる延長について検討してまいります。
次に、新型コロナワクチンの接種について申し上げます。
ワクチン接種は感染防止対策の要となりますので、希望される方への接種が円滑に進むよう、市町村や関係機関としっかり連携しながら、速やかな追加接種に取り組んでまいります。
その取組みの一環としまして、県内の接種のピークが3月と想定されることから、市町村の接種事業を後押しするため、県が主体となった大規模接種事業を県内4地域で速やかに実施することといたします。
次に、山形県新型コロナ対策認証制度の取組状況について申し上げます。
2月15日までに3,601件を認証しており、新型コロナ対策認証店が県内全域に広がっていることに加え、利用される方々の意識がより高まったことなどにより、飲食店における感染拡大防止に効果が上がっているものと考えております。
一方で、現在の感染状況を考えますと、オミクロン株の感染拡大に最大限の警戒をする必要があります。そのため、県としましても、引き続き市町村や関係団体と連携し、認証施設のメリットの周知を図りながら、できる限り多くの飲食店等の認証取得を促し、安心して飲食や宿泊ができる環境を整備してまいります。
次に、経済活動の持続と回復に向けた取組みについて申し上げます。
まん延防止等重点措置の区域においては「やまがた冬割キャンペーン」が停止となり、重点措置以外の区域も含め、宿泊予約のキャンセルなどの影響が生じております。このため、新型コロナの影響により売上が減少して厳しい経営状況にある宿泊施設が、コロナ禍を乗り越えて事業を継続できるよう、キャンペーン予算の一部を活用して給付金を支給いたします。
県としましては、この第6波の感染拡大を1日も早く抑え込み、県民の皆様の命と暮らしを守るため、感染防止や保健医療体制の確保に努めるとともに、社会・経済・文化活動の維持にしっかりと取り組んでまいります。
今後とも、県議会の皆様はじめ、県民の皆様、事業者の皆様、市町村と一丸となって、全力でこの難局を乗り越えてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
今冬の大雪により、雪下ろしや除雪作業中の事故が相次いでおり、人的被害は、2月15日現在、死者8名、負傷者149名の合計157名と過去5年の同時期としては、2番目に多くなっております。亡くなられた方々と御遺族の皆様に深く哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。
県内では、観測地点のほとんどで平年を上回る積雪となっており、県では、1月19日に山形県豪雪災害対策本部を設置し、道路除排雪の徹底をはじめ、農作物等被害状況の把握と防止に向けた技術対策の徹底、雪害事故防止の注意喚起などについて、市町村や関係機関と連携して対応を進めております。
2月7日には、県市長会及び県町村会とともに、政府に対し、「豪雪災害に関する緊急要望書」を提出いたしました。特に、道路除雪費につきましては、年末から正月にかけて、昨年度の大雪を超える急激な降雪に見舞われたことにより、県、市町村ともに平年を大きく上回る経費を要していることから、国土交通省に対し、県と県市長会、県町村会が連携し、オンラインにより、追加配分を要望したところです。
農林水産関係につきましても被害が発生していることから、1月19日に大雪に係る農林水産関係相談窓口を設置するとともに、被害防止に向けた技術対策の徹底を呼びかけたところです。
県としましては、県民生活の安全・安心の確保に万全を期すため、気象状況や被害状況等を情報収集し、今後の対策にしっかり取り組んでまいります。
それでは、提案いたしました議案の説明に先立ち、県政運営の所信の一端を申し上げ、議員各位並びに県民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。
新型コロナが私達の生活に影響を及ぼし始めてから2年余りが経過しました。この間、県民の皆様の命と暮らしを守ることを最優先に、県では、医療提供体制の確保やワクチン接種など感染拡大防止に取り組むとともに、地域経済の回復・再生、雇用の維持・確保のための対策を講じてまいりました。感染拡大に歯止めをかけ、経済活動との両立に向けた取組みを進め、新型コロナと共存する社会にしていく必要があります。
こうした中、新型コロナを契機として、生活様式の変化やデジタル化が進み、新たな消費スタイルや働き方が普及するなど、社会環境が大きく変化しております。SDGsに掲げられた17の目標を着実に実現していくためにも、脱炭素社会に対応した社会や産業への構造転換、AIなどのデジタル技術の活用と浸透、そして何よりも、新しい社会への転換をけん引できる人材育成にしっかりと取り組んでいく必要があります。
これら課題に正面から取り組み、ピンチをチャンスに変えていくことこそが、本県の構造的課題である人口減少への対応や若者の定着、産業の高付加価値化、ひいては県民の皆様の幸せな暮らしの実現へとつながるものと考えております。
以上を踏まえ、新年度の県政運営に当たりましては、「令和4年度県政運営の基本的考え方」に掲げる5つの視点を重視・強化し、施策を展開してまいります。
県民の皆様から県内で暮らすことの幸せを実感してもらえるよう、安心して働き、子育てできる環境や質の高い教育環境の整備を進めてまいります。また、日々の暮らしをより豊かにするため、文化芸術やスポーツに親しむ環境づくりに力を入れるとともに、食や自然など本県の豊かな地域資源を積極的に発信してまいります。このことにより、若者や女性の県外流出の抑制、移住・定住の促進や関係人口の拡大につなげてまいります。
引き続き、新型コロナへの対応を強化するとともに、デジタル技術を活用し、安定的な医療・介護提供体制の確保を図ってまいります。併せまして、健康づくりや予防医療の取組みを強化してまいります。また、障がい者等の就労や多様な社会参加を促進し、誰一人取り残さない地域づくりに取り組んでまいります。
「Yamagata幸せデジタル化構想」のもと、日常生活や産業などの幅広い分野でのデジタル技術の実装を進めるため、市町村や民間企業等と連携した取組みを一層強化してまいります。本年5月には、電子マネー機能も有する交通系ICカード「チェリカ」が県内一斉に路線バスで導入され、公共交通の利用から買い物までが1枚のカードで可能となります。こうした取組みなどにより、全ての県民がデジタル化の恩恵を受けられる温かみのある社会づくりを進めてまいります。
時代の変化に対応して、新規創業や新ビジネスを生み続ける環境を県内に整備していくことは、県民所得の向上、ひいては、本県の持続的な発展に欠くことができない視点であります。このため、「スタートアップステーション・ジョージ山形」を拠点とし、スタートアップや新ビジネスの創出を強く後押ししていくほか、農林業の高度人材を育成する「東北農林専門職大学(仮称)」の令和6年4月開学に向けた整備を進めていくとともに、本県の強みを活かした積極的な観光誘客等に取り組んでまいります。
近年、自然災害が激甚化・頻発化していることから、ハード・ソフト両面から防災力の強化に取り組むとともに、暮らしと産業を支える道路ネットワークの整備や雪害防止など雪に強い地域づくりを進めてまいります。加えまして、山形新幹線「米沢トンネル」の早期事業化に向けて、先月、県選出国会議員の遠藤利明衆議院議員をはじめ経済界代表などとともに、国土交通大臣に要望を行い、JR東日本社長とも面談を行ってまいりました。「米沢トンネル」につきましては、まさに今般、追加調査が行われるところであり、山形県の未来を拓く希望のトンネルであります。全ての関係者と手を取り合い、県内一丸となって、早期実現に向けて取り組んでまいります。
以上、5つの視点に基づき、地方創生の基盤となるプロジェクトを着実に進めながら、新たな時代を切り拓いてまいりたいと思います。
まずは現下のコロナ禍をなんとしても乗り越え、その先にある「人と自然がいきいきと調和し、真の豊かさと幸せを実感できる山形」の実現に向けて、県議会の皆様はじめ、市町村や関係機関、そして県民の皆様と力を合わせ、全力で取り組んでまいります。
新年度における主要施策の概要について、「令和4年度県政運営の基本的考え方」に基づく5つの視点に沿って御説明申し上げます。
今年度に引き続き、出産支援給付金の給付や、保育料無償化に向けた段階的負担軽減、保育所入所希望者の増加を見据えた保育士確保支援を実施するとともに、私立高等学校等の授業料軽減のための支援額を拡充いたします。また、令和4年4月から特定不妊治療に医療保険が適用されることに伴って生じる治療費の自己負担の一部を助成いたします。
さらに、保育、幼児教育、看護、介護等、新型コロナと少子高齢化の双方に対応する現場で働く方々の処遇改善を図るため、賃金引上げの支援をいたします。
加えまして、本県の魅力ある多様な地域資源を県内の子どもたちに体験・学習してもらうことで、郷土愛を育み、将来の県内定着・回帰につなげてまいります。
引き続き、新型コロナ患者の入院病床の確保や、軽症者等宿泊療養施設の確保、検査体制の継続等の予算を計上し、新型コロナ対策にしっかり取り組んでまいります。また、ポストコロナを見据え、「コロナに負けない身体づくり」を推進するため、ウォーキングプロジェクトを展開いたします。
さらに、医療的ケア児やその家族の様々な相談について総合的に対応するため、山形大学に委託して、山形大学医学部附属病院内に医療的ケア児支援センターを開設いたします。
加えまして、特別支援学校高等部に在籍する生徒の就労を支援するコーディネーターを県内4地域に配置するほか、障がい者雇用に関する制度周知や企業と障がい者とのマッチングなどを行うコーディネーターを新たに配置するとともに、就労継続支援B型事業所の工賃向上に向け、共同受注センターを開設し事業所の取引拡大を支援してまいります。
総合的な結婚支援事業を展開している「やまがたハッピーサポートセンター」にAIマッチングシステムを導入し、出会いの機会の創出を拡大するほか、児童相談所にAI機能一体型の業務支援システムを導入し、児童虐待対応を強化いたします。また、県管理道路の維持管理において、AIを活用し、人間の目では判断しづらい路面や斜面の大きな損傷につながる箇所を効率的に抽出できないか、調査・検証してまいります。
さらに、介護・障害福祉サービス事業所等へのICT技術や介護ロボットの導入、中山間地域農業へのデジタル技術の導入など、様々な分野におけるデジタル化を支援するとともに、ものづくり分野においては、デジタル技術やロボットの導入による生産性向上を担う人材を育成いたします。
加速している自動車電動化の潮流をとらえ、新たな市場獲得を目指して、県内企業の次世代自動車関連分野への参入を支援してまいりますとともに、市町村と連携し、地域経済の回復・再生に向けた取組みを推進するため、市町村が取り組む消費喚起事業を支援いたします。また、落ち込んだ観光者数の回復を図るため、さくらんぼを活用した観光誘客の取組みを強化するとともに、ポストコロナに向け、観光人材を育成し、SDGsなど新たな視点を取り入れた旅行商品の造成等に取り組んでまいります。
「果樹王国やまがた」の再生に向け、先行投資型果樹団地の整備への支援等による生産基盤の強化を行うとともに、ポストコロナを見据え、果樹王国情報発信の拠点施設の整備に着手いたします。
そして、コロナ禍による米価下落への対策として主食用米以外での米の活用を促進するため、米粉の利用拡大に向けた生産・消費の両面からの支援を行います。また、農業経営における様々なリスクに備えるため、収入保険の加入促進に向けて、市町村と連携した掛金の助成等を行ってまいります。
令和2年7月豪雨等を踏まえた最上川等の治水対策に引き続き取り組むとともに、河川の流下能力向上対策について、土砂がたまりにくくする対策を新たに取り入れ、令和4年度から4か年で集中的に実施し、水害リスクの低減を図ってまいります。
また、洋上風力発電の導入に向けた協議の推進や、国土交通大臣による酒田港の基地港湾指定に向けて、調査・検討を実施いたします。
さらに、「ゼロカーボンやまがた2050」の実現に向け、県民への普及啓発など機運醸成を図る県民運動を展開するとともに、高断熱・高気密住宅と再生可能エネルギー設備を組み合わせた住宅建築を支援いたします。
これら施策を推進するため所要の予算を計上した結果、一般会計当初予算案の総額は、6,849億1,200万円となりました。
また、公債管理特別会計など10特別会計予算案は、合計で2,413億7,595万円余となりました。
財政運営につきましては、県税と地方交付税は増加を見込んでおりますが、地方交付税と臨時財政対策債を合わせた実質的な地方交付税は減少の見込みとなり、引き続き厳しい予算編成を余儀なくされたところです。今後を展望しますと、依然として多額の財源不足が生じる厳しい状況が見込まれますが、産業の振興により、県民所得の向上、県内経済の成長につながる好循環を生み出し、県税収入の増加を図っていくことが重要と考えております。
そのうえで、今回の予算編成と同時に策定した「山形県財政の中期展望」において、歳入面では、県有財産の売却や有効活用の促進、基金や特別会計の有効活用等を図るとともに、歳出面では、引き続き事務事業の見直し・改善や、行政経費の節減・効率化などに取り組むこととしております。
こうした歳入・歳出両面からの対策を講じつつ、中長期的な財政健全化を推進するため、県債残高の減少と調整基金の確保に引き続き努めてまいります。
まず、まん延防止等重点措置区域内において営業時間の短縮要請に御協力いただいた飲食店等の事業者への協力金を計上するほか、新型コロナ対応のための経費を増額いたします。
また、政府の補正予算への対応としまして、防災・減災、国土強靭化の推進や、農林水産業の成長力強化の対策などの公共事業等を追加いたします。
さらに、今冬の降雪状況を踏まえ、道路除雪費を増額いたします。
こうした対応に、今年度の執行実績等による減額を合わせますと、一般会計の2月補正予算案の総額は、290億9,200万円の増額となりました。
繰越明許費につきましては、ただいま申し上げた政府の補正予算への対応など、総額で472億2,867万円余を増額補正いたします。
山形県手数料条例の一部を改正する条例の制定については、畜舎等の建築等及び利用の特例に関する法律の規定に基づく畜舎建築利用計画の認定を申請する者等から手数料を徴収するとともに、行政書士試験手数料等の額の適正化を図る等のためのものであります。
市町村等と山形県との間の行政不服審査法第81条第1項に規定する機関の権限に属させられた事項を処理する事務の委託に関する規約の制定については、県内25市町村、15一部事務組合及び広域連合から行政不服審査会の事務を受託するため、規約を定めるものであります。
以上が、今回提案いたしました議案の概要でありますが、内容の詳細につきましては、議事の進行に従いまして、関係部課長より御説明申し上げますので、よろしく御審議のうえ、御可決くださいますようお願いいたします。
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