更新日:2020年10月12日

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9月定例会(令和元年9月13日)

県議会9月定例会の開会に当たり、提案いたしました議案の説明に先立ち、一言申し上げます。

6月18日に発生した山形県沖を震源とする地震から、間もなく3か月が経過しようとしております。
このたびの地震では、鶴岡市を中心とする庄内地域において、900棟を超える住宅に被害が発生したことに加え、道路や港湾・漁港、商工関係や観光関係の施設などに被害が発生いたしました。
改めて、被災された皆様に、心からお見舞いを申し上げます。
県では、このたびの地震による被害状況を受け、当初予算に計上している災害対応予算を活用するのはもとより、被災された方々の生活が一刻も早く元に戻るよう、県議会6月定例会に補正予算を追加提案し、御可決をいただき、道路や河川などの土木関係施設や漁港・林道などの農林水産関係施設に係る災害復旧、被災住宅の瓦屋根の修繕や被災された事業者の資金繰りへの支援、あつみ温泉の宿泊施設に対する復活割引キャンペーンなどを進めてまいりました。
また、災害廃棄物の処理に係る助言など、被災自治体の応急復旧対策を支援したほか、住宅に大きな被害を受けた方には、県独自の災害見舞金や、お見舞いの品をお届けしたところであります。
7月1日に政府調査団が来県した際には、防災担当大臣に対し、政府からの支援を、強く要望いたしました。
これを受け、政府からは、被災住宅の修繕補助への財政的支援をはじめ、旅行会社の宿泊料金割引や中小企業・小規模事業者に対する金融支援の強化などを進めていただいたところです。
関係省庁による災害査定につきましても、土木関係、農林水産関係ともに順調に進められてきており、復旧に向けて着実に進んでおります。
県としましては、引き続き、政府や被災市町、関係機関・団体と連携して、全力を挙げて復旧・復興・復活に取り組んでまいります。

次に、経済の動向、農作物の生育状況並びに当面の県政課題について、順次、御説明申し上げます。

経済の動向

はじめに、経済の動向について申し上げます。

我が国の経済につきましては、生産の一部や輸出に弱さが続いているものの、緩やかに回復しております。個人消費は持ち直しているほか、設備投資は緩やかな増加傾向にあり、雇用情勢は着実に改善しております。
本県経済についてみますと、生産はこのところ足踏みがみられますが、個人消費は力強さには欠けるものの持ち直しており、雇用情勢は着実に改善が進んでいるなど、全体として緩やかな回復の動きがみられます。
先行きにつきましては、緩やかな回復が続くことを期待しておりますが、県内の有効求人倍率は5か月連続で低下しており、米中間の通商問題、いわゆる貿易摩擦を巡る相互の関税措置の影響も懸念されますので、10月1日からの消費税率10%への引上げを含め、国内外の経済情勢の変化が本県に与える影響について、引き続きしっかりと注視してまいります。

農作物の生育状況

次に、農作物の生育状況について申し上げます。

県内では、梅雨明け以降気温が高く、日照時間も長く、大変暑い夏となりました。8月下旬以降は厳しい暑さも落ち着き、生産者の皆様のきめ細かな栽培管理などにより、農作物は概ね順調な生育となっております。
水稲につきましては、県内各地で刈り取りの時期を迎えようとしており、「つや姫」、「雪若丸」をはじめ、今年も高品質と良食味(りょうしょくみ)が期待されるところです。
果樹につきましては、一部園地でりんご黒星病(くろほしびょう)の発生がみられるものの、まもなく収穫盛期を迎えるぶどう「シャインマスカット」や西洋なし「メロウリッチ」など、順調に生育しております。
野菜につきましては、収穫期にあるえだまめ、トマト、ねぎなどは、収量・品質とも良好となっております。りんどうや菊等の花きにつきましても、秋彼岸の需要期に向けて順調に出荷されております。
実りの秋を迎え、今後とも農作物の生育状況を的確に把握するとともに、適切な栽培管理が行われるよう、技術指導の徹底を図ってまいります。

当面の県政課題

次に、当面の県政課題について申し上げます。

はじめに、「第4次山形県総合発展計画(仮称)」の策定について申し上げます。

7月29日に開催した「令和元年度第1回山形県総合政策審議会」において、次期総合発展計画の策定について諮問を行いました。
当日は、これからの県づくりにおいて、「人口減少問題を克服し、持続的に発展する活力ある地域社会の形成」、「県民一人ひとりの活躍の土台となる安心な暮らしの形成」、「将来を見据えた発展基盤づくり」の3つの視点を重視するとした基本方針等が定められるとともに、今後、検討すべき論点や課題について審議が行われたところです。
引き続き、計画内容について議論を深める「政策研究会」の開催や、市町村や県民各層、とりわけ、これからの県づくりに大きな役割を担う若者との意見交換等を幅広く実施しながら、来年1月に予定される答申に向けて議論が進められる予定です。
今後、中間報告など、検討の各段階に応じて、県議会の皆様とも十分に意見交換させていただきながら、計画案のとりまとめを進めてまいります。

次に、女性の活躍推進について申し上げます。

8月2日に、私は、全国知事会男女共同参画プロジェクトチームのリーダーとして、47都道府県を代表し、内閣府と厚生労働省に対し、来年度の政府の施策について提言を行ってまいりました。
提言の内容としましては、「女性活躍~ウーマノミクス~を加速し、経済活性化」をテーマとし、「女性も安心して長く働き続けられる職場環境の整備」、「女性と男性が、互いに人権を尊重する取組みの促進」などの6項目であります。特に中小企業・小規模事業所における女性の正社員化の推進、同一労働・同一賃金の確実な実施、女性の活躍推進に本気で取り組むための十分な財源確保などについて、強く求めたところです。
政府には提言を真摯に受け止めていただき、特に、内閣府特命担当大臣(男女共同参画担当)とは、今後とも、政府と地方が男女共同参画と女性活躍の推進に向け、一層連携して取り組んでいくことを確認してまいりました。
引き続き、関係機関・団体との連携のもと、女性も男性も、家庭や職場、地域でそれぞれの役割を果たしながら活躍できる社会の実現に向け、内閣府の重要政策会議の一つとされる「男女共同参画会議」など様々な機会を捉え、地方の代表として政府に対し、しっかりと提言してまいります。

次に、観光交流の拡大に向けた取組みについて申し上げます。

10月1日から、「日本海美食旅(ガストロノミー)」をテーマとした「新潟県・庄内エリアデスティネーションキャンペーン(DC)」が開催されます。
両地域に共通する「食」「酒」を中心に、地域のストーリーを伝える様々な取組みを進め、食を育んだ歴史や伝統、暮らし、風土といった背景をあわせて、両地域の魅力を国内外に強く発信してまいります。
また、DCの効果を山形県全域へ波及させることも大切でありますので、庄内と内陸を結ぶ観光バスや県内の主要駅からの美食・美酒を楽しむタクシーの運行などの取組みを支援するなど、県全体の観光交流人口の拡大を図り、地域の活性化につなげてまいります。
加えまして、DCと連携して「庄内北前ガニキャンペーン」を実施し、新たなトップブランドを目指す「庄内北前ガニ」をPRするとともに、「庄内おばこサワラ」や「天然とらふぐ」など庄内浜産水産物の消費拡大を図ってまいります。

次に、国際交流の拡大に向けた取組みについて申し上げます。

7月15日から20日までの6日間、トップセールスのため韓国ソウル市及び大邱(テグ)市を訪問してまいりました。
酒田港の国際定期コンテナ航路を運航する海運会社へのポートセールスでは、日本海側の国際物流拠点としての酒田港の重要性に対しての認識を共有し、酒田港の取扱貨物量の増加や航路利便性の向上に向け相互に協力していくことで合意しました。
また、韓国の航空会社及び旅行会社を訪問し、本県への送客拡大を働きかけ、新潟空港などの定期便を活用した秋・冬期(あきふゆき)の本県周遊の旅行商品の造成が決定しました。
県産酒のプロモーションでは、現地の飲食店経営者等から県産の日本酒やワインに高い評価をいただき、現地輸入業者の招聘など、取引拡大に向けて取組みを進めることが決まりました。
大邱(テグ)市では、日本赤十字社山形県支部の支部長として大韓赤十字社大邱(テグ)支社を訪問し、これまで10年以上にわたり実施してきた青少年赤十字国際交流事業を今後も継続することとし、事業に関する協定の期間延長に合意をしてきたところです。
また、8月25日から29日までの5日間、東北観光推進機構が主催する「バンコクトップセールス事業」に東北各県、新潟県などと参加し、タイ政府の観光関係者や現地の航空会社、旅行会社に対し、本県の魅力ある観光資源をPRするとともに、交流拡大に向けた働きかけなどを行ってまいりました。
このほか、バンコクでは、個別に現地旅行会社の幹部と面談し、10月に運航が再開されるバンコク-仙台便を活用して本県を含む東北地方を周遊する旅行商品造成に向けた働きかけを行い、このたび、旅行商品の造成が決定いたしました。
タイ王国は、本県からも多数の企業が進出し、経済交流が盛んであるなど、本県との関わりが深い国でありますので、このたびの訪問を契機に、交流がますます拡大するよう、関係者と連携しながら取り組んでまいります。

次に、スポーツの振興に向けた取組みについて申し上げます。

9月20日から、世界三大スポーツ大会のひとつとされるラグビーワールドカップが開幕します。本県は、山形市及び天童市とともに、サモア代表の公認チームキャンプ地となっており、これまで関係機関・団体と連携し、キャンプの受入れに向けて万全の準備を進めてまいりました。
県としましては、9月16日に文翔館で開催されるチームウェルカムセレモニー等を通して歓迎ムードを高めるとともに、サモアチームに最高のコンディションで大会に臨んでいただけるようサポートしてまいります。この機会を活かし、スポーツによる地域の活性化や国内外への「山形」の魅力発信につなげてまいります。

次に、「つや姫」デビュー10周年を契機とした取組みについて申し上げます。

この秋、本県が誇るブランド米「つや姫」がデビュー10周年を迎えます。この間、「つや姫」は生産者の皆様の高い意識と技術力による高品質・良食味(りょうしょくみ)の安定生産と、県民はじめ関係者の皆様からの応援に支えられ、今や全国トップブランド米の評価をいただくまでに大きく成長することができました。
10年の節目にあたり、県内外での記念イベントの開催や記念販売促進キャンペーン等を展開しながら、県民の皆様をはじめ全国のファンの方々と喜びを分かち合い、令和の新時代も「つや姫」の価値をより確かなものとしていく機運を高め、消費者との信頼関係をさらに深めてまいります。
また、デビュー2年目の「雪若丸」につきましても、その特長を大いにアピールし、「つや姫」との相乗効果を図りながら、認知度向上と販売拡大に努めるとともに、作付面積の拡大を見据え、引き続き、高品質・良食味(りょうしょくみ)の安定生産体制の構築に向けた取組みを進めてまいります。
「つや姫」が将来にわたって本県はもとより全国を牽引するトップブランド米であり続け、「米どころ山形」としての存在感を一層高めるため、「雪若丸」のPRと併せ、オール山形体制でしっかりと取り組んでまいります。

次に、河北病院における一部診療科の休止について申し上げます。

6月から7月にかけて、山形大学医学部の関係医局から河北病院に対し、小児科、皮膚科、眼科の各外来の診療科への医師派遣を8月末で終了する旨の連絡がありました。
病院事業局では、医師派遣の終了による診療科の休止を回避するため、山形大学医学部長等に医師派遣の継続を繰り返し要請し、ぎりぎりまで大学関係者との調整を図ったところですが、皮膚科及び小児科の心臓外来や成長・発達外来については、山形大学医学部から派遣される医師が確保できず、9月から休止とせざるを得ない状況となりました。このため、河北病院では、これらの診療科の患者のうち、引き続き診療が必要な患者については他の医療機関を紹介するなど、治療に支障が生じないよう対応したところであります。一方、小児科の一般外来及び眼科には、山形大学医学部から非常勤医師が派遣され、診療が継続されることとなりました。さらに小児科については、県立中央病院からも応援医師を派遣することとし、週3日の外来診療を確保したところであります。
県としましては、今後とも、医師の養成機関である大学医学部とのコミュニケーションを良好に保ちながら、県内の安定的な医療提供体制の確保に向けて取り組んでまいります。

次に、令和2年度県政運営の基本的考え方について申し上げます。

来年度の予算編成や組織機構等の検討に先立ち、このたび、「令和2年度県政運営の基本的考え方」の案をお示しいたしました。
令和2年度は、将来ビジョン「自然と文明が調和した新理想郷山形」の実現に向けて、引き続き、「県民総活躍」、「産業イノベーション」、「若者の希望実現」、「健康安心社会」、「県土強靭化」の5つを県政運営の基盤としながら、今後の県づくりの指針となる「第4次山形県総合発展計画(仮称)」に沿って、「令和」の新たな時代のもと、「やまがた創生」をステップアップしてまいります。
施策の展開に当たりましては、本県を取り巻く情勢や政府の政策動向を踏まえ、「人口減少問題の克服と地域経済の発展」、「県民の安全・安心な暮らしの確保」、「暮らしや産業の基盤整備」の3つを、今後の県づくりの基本視点として重視してまいります。
これにより、県民が本県で暮らす幸せを感じ、また、本県を訪れる人も幸せを感じられるような県づくりを目指してまいります。
今後、この案につきまして、県民の皆様、県議会の皆様から広く御意見をいただき、それらを十分に踏まえたうえで「令和2年度県政運営の基本的考え方」を策定し、来年度の予算編成等に臨んでまいります。

議案の概要

次に、このたび御審議いただきます議案の概要について御説明申し上げます。

提案いたしました議案は、令和元年度山形県一般会計補正予算(第3号)など、29件であります。

まず、一般会計補正予算について申し上げます。

今回の補正予算は、6月18日に発生した山形県沖を震源とする地震による被害への対応をさらに進めるとともに、「やまがた創生」のさらなる展開強化や、喫緊の課題への対応等のために補正を行うものであります。

6月18日に発生した山形県沖を震源とする地震による被害への対応につきましては、6月補正予算をとりまとめた後に判明した港湾施設の被害の復旧や、本県からの要望を受けて設備復旧等に対応できるように拡充された政府の補助金を活用した中小企業・小規模事業者への支援などを追加し、対策に万全を期してまいります。

「やまがた創生」のさらなる展開強化につきましては、第1に「いのちと暮らしを守る安全安心な社会の構築」としまして、県内の医師確保の強化のため県内出身者に対する医師修学資金貸付金を増額するほか、県身体障がい者保養所について、本県における共生社会の実現に向けた機運を醸成するとともに、利用者からの御要望に応えるため、バリアフリー化を進めてまいります。

第2に「地域の豊かさを支え、高いブランド力で国内外に展開する農林水産業」としまして、政府の「総合的なTPP等関連政策大綱」に基づき、収益性の高い農産物の生産・販売等の取組みを支援し意欲ある農業者の所得向上を推進するため、園芸作物の集出荷(しゅうしゅっか)施設の整備を支援いたします。

第3に「世界に誇る山形の魅力を発信し国内外の旺盛な活力を引き込む『観光立県山形』の確立」としまして、本県空港への国際チャーター便が増便され、過去最高の便数となることを受けて、運航に係る航空会社等への支援を拡充するほか、政府の東北観光復興対策交付金を活用し、インバウンド拡大に向けた誘客プロモーションの強化等に取り組みます。

第4に「再生可能エネルギーによる産業振興と地域活性化、国内外に誇れる優れた環境資産の保全・創造・活用」としまして、令和3年8月11日の本県開催が決定された、東北初開催となる第6回「山の日」全国大会に向けた準備を進めてまいります。

第5に「地域活力と多様な交流を生み出し災害に強い県土基盤の形成」としまして、防災・減災、国土強靭化緊急対策事業を中心に、当初予算を上回る国庫の内示を受けたことから、土木・農林水産関係の公共事業を追加いたします。

その他、喫緊の課題への対応等としまして、児童自立支援施設「朝日学園」について、近年の入所児童が抱える課題の変化に即した支援を行うための機能強化や、施設の老朽化・狭隘化の課題に対応するため、整備基本計画の策定に向けた測量調査等を行うほか、ふるさと納税について、件数・金額ともに過去最高となった昨年度の実績を7月末時点で既に上回ったことに伴い、返礼品等の経費を増額いたします。

この結果、今回の一般会計補正予算総額は、131億8,400万円となり、今年度の累計予算額は、6,283億7,600万円となります。

次に、予算以外の議案の主なものについて御説明申し上げます。

山形県手数料条例の一部を改正する条例の制定については、卸売市場法等の規定に基づく地方卸売市場の認定の申請をする者等から手数料を徴収するとともに、運転免許試験手数料等の額の適正化を図るためのもの、山形県心身障がい者扶養共済制度条例の一部を改正する条例の制定につきましては、心身障がい者扶養共済制度の年金管理者の要件について見直しを行うためのものであります。
山形県教育委員会委員の任命及び山形県土地利用審査会委員の任命につきましては、いずれも委員の任期満了に伴い、提案の者を適任と認め、御同意をお願いするものであります。

以上が、今回提案いたしました議案の概要でありますが、内容の詳細につきましては、議事の進行に従いまして、関係部課長より御説明申し上げますので、よろしく御審議のうえ、御可決くださいますようお願いいたします。

なお、平成30年度一般会計及び公債管理特別会計など11特別会計、並びに電気事業会計など5公営企業会計の決算につきましては、監査委員の審査意見書を付し、今会期中に提出いたしますので、よろしく御審議のうえ、御認定くださいますようお願いいたします。

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