更新日:2020年10月12日

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12月定例会(令和元年12月3日)

県議会12月定例会の開会に当たり、提案いたしました議案の説明に先立ち、一言申し上げます。

台風第19号は10月12日から13日にかけて日本列島に上陸し、東日本各地に甚大な被害をもたらしました。お亡くなりになられた方々と御遺族に対し深く哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。

台風第19号による被害への対応

本県におきましても、台風第19号により置賜地域や村山地域を中心に非常に激しい雨となり、大きな被害が発生いたしました。降り始めからの降水量は山形市鍋倉で459ミリを観測し、24時間雨量では高畠町で240.5ミリ、米沢市で205.0ミリと、観測史上最大を記録しました。
県内の26市町村で避難指示や避難勧告等の避難情報が発令され、33市町村が329か所の避難所を開設し、最大で4,870人が避難しました。
この台風による人的被害は、重傷者が2名、軽傷者が1名の計3名となりました。また、住家の半壊4棟、一部破損34棟、床上浸水65棟、床下浸水98棟の計201棟に被害が発生しました。
河川につきましては、8か所で溢水(いっすい)や越水(えっすい)、内水(ないすい)被害が発生したほか、187か所で護岸損壊などの施設被害が発生しました。道路につきましては、県管理道路と市町村道を合わせて195か所で路肩欠損や法面崩落、土砂流出などの被害が発生し、現在も9か所で全面通行止めなどの規制が行われております。これら公共土木施設の被害額は、調査は継続中ですが、県分が44億1,400万円、市町村分が6億3,200万円となりました。
また、農林水産関係では、果樹等の農作物被害が207ヘクタール、農地の法面崩落や土砂流入、水路や農道の被害など農地・農業用施設が343か所、林道の法面崩落など森林関係が106か所などの被害が発生し、被害額は5億2,400万円となりました。さらに、保管していた新米等の浸水被害のほか、ほ場等に堆積した大量の稲わらの処理の問題が発生したところです。
県としましては、台風の接近に伴い、大規模な災害の発生が懸念されたことから、10月12日22時30分に県災害対策本部を設置し、被害情報の把握や県民の皆様に対する注意喚起を行うとともに、市町村や関係機関と連携して警戒や応急対策に当たったところです。
10月16日には、私自身も浸水被害が大きかった高畠町と川西町の現地を視察し、住民の方々から氾濫危険水位に達した川の様子や家屋の浸水被害の状況、農作物の被害状況などについて、直接お話を伺いました。そのうえで、県民生活や経済活動への影響が大きい道路の早期復旧、河川の被害拡大防止のための大型土のうの設置、農地や林道の復旧など農林水産被害に対する支援、稲わら堆積被害など災害廃棄物の処理に係る被災市町村への助言など、応急復旧対策に取り組んでまいりました。県災害対策本部につきましては11月19日から災害復旧対策連絡会議に移行しましたが、引き続き、政府や被災市町村、関係機関と連携して、全力を挙げて復旧・復興に取り組んでまいります。

また、総務省消防庁や厚生労働省などからの要請により、発災直後から宮城県角田(かくだ)市や丸森町(まるもりまち)等に緊急消防援助隊や消防防災ヘリコプター、DMATなどを派遣し、人命救助活動等を行ってまいりました。加えて、対口(たいこう)支援として角田(かくだ)市に罹災証明書発行のための業務に、県と市町で合わせて延べ96人の職員を派遣しました。これに市町村独自の協定に基づく派遣も合わせ、県内からはこれまでに延べ約2,000人が派遣されており、今後とも被災地の要望を踏まえながら支援してまいります。

次に、山形県総合文化芸術館(やまぎん県民ホール)について申し上げます。

本県の文化・芸術活動の拠点であり、山形県の魅力を発信する新しい複合文化施設である山形県総合文化芸術館(やまぎん県民ホール)は、このたび本館が完成し、今月1日に県民の皆様にお披露目を行いました。
当日は、大ホールの緞帳(どんちょう)披露や施設紹介の後、飯森範親(のりちか)さんの指揮による山形交響楽団のコンサートを行いました。さらに、施設全体を活用し、気軽に参加いただける催しを併せて開催し、老若男女を問わず多くの方から御来場をいただいたところです。
来年3月29日の開館に向けて、しっかりと準備を進めてまいります。

次に、経済の動向及び当面の県政課題について、御説明申し上げます。

経済の動向

はじめに、経済の動向について申し上げます。

はじめに、経済の動向について申し上げます。
我が国の経済につきましては、生産や輸出で弱さが長引いているものの、緩やかに回復しております。個人消費は持ち直しているほか、設備投資は緩やかな増加傾向にあり、雇用情勢は改善しております。
本県経済についてみますと、生産はこのところ足踏みがみられますが、個人消費は力強さには欠けるものの持ち直しており、雇用情勢は引き続き改善しているなど、全体として緩やかな回復の動きがみられます。
先行きにつきましては、緩やかな回復が続くことを期待しておりますが、米中間の通商問題、景気の減速が続く中国経済の先行き、英国のEU離脱の行方など海外経済の動向や、台風第19号などの自然災害の経済活動への影響、消費税率引上げ後の消費者マインドの動向など、国内外の経済情勢の変化が本県に与える影響について、引き続きしっかりと注視してまいります。

当面の県政課題

次に、当面の県政課題について申し上げます。

はじめに、「第4次山形県総合発展計画(仮称)」の策定について申し上げます。

7月に開催した「令和元年度第1回山形県総合政策審議会」において、次期総合発展計画の策定について諮問を行い、それを受け、同審議会では答申を取りまとめていくに当たっての「基本方針」が定められました。
その後、「政策研究会」が開催され、政策・施策の展開方向について議論が重ねられるとともに、「ヤマガタ2030(ニーゼロサンゼロ)を語る会」として、県内外の高校生・大学生や若手経済人との意見交換も幅広く行い、これからの県づくりに大きな役割を担う若者の意見もしっかり伺ってまいりました。こうした議論や意見を反映させながら、11月22日の第2回審議会において中間報告を取りまとめていただいたところです。
中間報告では、これからの県づくりの基本的考え方として、まず第一に「人口減少を乗り越え、持続的に発展する新しい“やまがた”の創生」を示しております。これは、これまでの少子化対策をはじめとする「人口減少の抑制策」とともに、当面、人口減少の進行が避けられない中で、「人材」、「イノベーション」、「国内外の活力」などを原動力とした「人口減少への対応策」を位置付け、「抑制」と「対応」の両面からの取組みを好循環させていくという考え方であります。
そして、こうした取組みを進めていくことにより、2つ目の考え方となる「真の豊かさ、生きがい・幸せを実感できる新しい“やまがた”の創生」へとつなげていくものであります。
さらに、国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs(エスディージーズ))の実現への貢献や、「人材の育成・確保」や「県民の希望の実現・総活躍」など5つの政策の柱とそれに基づく施策の方向性を示しております。
今後、今回の中間報告をもとに、市町村をはじめ県民各層から幅広く御意見をお聞きしながら、答申に向けて検討を深めていただくこととしております。
引き続き、県議会の皆様とも十分に意見交換させていただきながら、計画の策定を進めてまいります。

次に、自転車の安全で適正な利用の促進について申し上げます。

平成29年5月に「自転車活用推進法」が施行され、平成30年6月には「自転車活用推進計画」が閣議決定されました。これを受け、本県においても、本年8月に、自転車活用に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、「山形県自転車活用推進計画」を策定したところです。
今後、この計画を推進することにより、自転車利用の増加が見込まれることから、自転車が関係する事故も増えることが懸念されます。
このため、計画の目標の一つに「交通マナー向上と安全教育の充実等による事故のない安全で安心な自転車の活用」を掲げるとともに、県としましては、県民の総意の下、自転車の安全で適正な利用の促進を推進していくため、今定例会に「山形県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」を提案いたしました。
この条例においては、基本理念をはじめ、県や県民、自転車利用者等の責務などを定め、県民みんなが、自転車の安全で適正な利用について自ら理解を深め、連携・協力することにより、自転車が関係する事故を防止し、県民が安全で安心して暮らすことができる社会を実現してまいりたいと考えております。

次に、女性の活躍推進について申し上げます。

私は、以前から、女性も活躍することで経済成長を促す「ウーマノミクス」の推進を提言し続けてまいりました。社会の人口の半分は女性です。その女性たちの能力が十分に発揮できていないのは、もったいないことと思っています。11月12日に開催された内閣府の「男女共同参画会議」におきましても、私は、男女間格差を解消し、「ハラスメントの根絶や、地域別最低賃金制度の見直し、同一労働・同一賃金の実現」など、女性も活躍できる環境づくりの必要性について提言を行いました。
また、11月16日には、東京都内で開催された「女性首長(しゅちょう)によるびじょんネットワーク」会議に出席してまいりました。
この会議は、私と小池東京都知事が共同座長となり、全国の自治体の女性首長の参加を得て、日本商工会議所や山形商工会議所をはじめ、経済界で活躍する女性経営者とともに意見交換や情報交換を行い、女性活躍推進の気運を一層盛り上げていくことを目的としたものであります。
当日、参加された女性市長、町長からのメッセージをはじめ、基調講演やパネルディスカッションでの議論の内容は、いずれもこれからの女性活躍に向けた力強いエールや示唆となるものばかりでありました。
女性の活躍を一層推進するためには、まだまだ息の長い不断の努力が必要でありますので、このネットワークを活かして、「ウーマノミクス」を前進させていくとともに、政治や経済も含め、あらゆる分野で女性も活躍できる社会にしていきたいと考えております。

次に、農林業の専門職大学の設置について申し上げます。

農林業の未来を担う高度な人材の育成に向けた、専門職大学の設置につきましては、今年5月に、基本構想策定委員会を設置し、大学の設置理由や教育理念などを定める基本構想の検討を進めてまいりましたが、このたび、県として基本構想を決定いたしました。
基本構想では、専門職大学を設置する意義を、「山形発の、東北、日本を牽引する農林業経営者の育成」、「農林業現場に貢献する研究」、「農林業によるやまがた創生、地方創生」の3点とし、「将来を見通した経営ができる人材」、「消費マーケットを見据えた需要・市場開拓ができる人材」、「高度で先進的な生産技術を持つ人材」、「幅広い教養を持ち地域を牽引できる人材」を育成していくこととしております。
この基本構想の策定に当たりましては、策定委員会の委員の方々から、山形県の農林業の未来を考えたとき、こうした大学の整備を是非進めるべきとの一致した意見をいただきました。また、県内農林業関係者、市町村、産業界の皆様など、県内各界各層の方々から、専門職大学に対する熱い想いや大きな期待をお聞きしたところです。こうした御意見を十分に踏まえ、熟慮を重ねた結果、農林業の専門職大学の設置に向け、具体的な準備に着手することといたしました。
設置場所につきましては、基本構想に示した考え方を踏まえ、農林大学校が立地し農林業の担い手を育成してきた実績があることや、地域から誘致への熱心にして強い要望があり、大学運営に地域一丸となって支援・協力する意向が示されていること、などを考慮し、新庄市、具体的には現在の農林大学校の敷地内といたします。
開学時期につきましては、できるだけ早期の開学を求める声が強い中、必要な施設の整備や設置認可を受けるため必要となる手続きの期間などを考慮して、令和5年4月開学を目指してまいります。
大学の設置運営主体につきましては、大学開学後も県として責任を持って人材の育成を行い、「食料供給県山形」の存在感を更に高めるとともに、「やまがた森林ノミクス」を着実に推進していく必要があることから、県直営による県立大学といたします。
このたび整備を行う本県の専門職大学が、県内はもとより、東北、全国から学生を惹きつけ、これからの農林業を牽引する人材を育成・輩出することを通して、本県農林業ひいては日本の農林業の発展、さらには「やまがた創生」、「地方創生」につながるよう全力で取り組んでまいります。

議案の概要

次に、このたび御審議いただきます議案の概要について御説明申し上げます。

提案いたしました議案は、令和元年度山形県一般会計補正予算(第4号)など、29件であります。

まず、一般会計補正予算について申し上げます。

今回の補正予算は、台風第19号による被害への対応のため、土木関係施設、農林漁業関係施設等の災害復旧や被災者への支援等に要する経費として、当初予算に計上している災害対応予算では不足となる4億2,500万円余を追加するほか、人事委員会勧告の実施に伴う給与改定や職員の異動等による人件費の補正などを行うもので、一般会計補正予算総額は、4億5,000万円の増額となり、今年度の累計予算額は、6,288億2,600万円となります。
繰越明許費につきましては、年度内に支出の終わらない見込みのある経費について翌年度に繰り越して使用するため、総額で225億6,600万円余を計上するものであります。
債務負担行為の補正につきましては、工事の早期着工を図るため、いわゆるゼロ県債など20事業で134億4,900万円を計上いたします。
土地取得事業特別会計など3特別会計及び電気事業会計など4公営企業会計の補正予算につきましては、人件費等を補正するものであります。

次に、予算以外の議案の主なものについて御説明申し上げます。

山形県生涯学習センター条例の一部を改正する条例の制定につきましては、新たに設置する駐車場の使用料の額を定めるとともに、山形県生涯学習センターの指定管理者が行う管理の基準のうち開館時間及び休館日に係るものを変更するためのもの、山形県手数料条例の一部を改正する条例の制定につきましては、法律の規定に基づく「自動車の保管場所の確保を証する書面に相当する通知」の申請者から手数料を徴収するとともに、二級建築士等の免許手数料等の額の適正化を図る等のためのものであります。
山形県公害審査会委員の任命につきましては、委員の任期満了に伴い、提案の者を適任と認め、御同意をお願いするものであります。

以上が、今回提案いたしました議案の概要でありますが、内容の詳細につきましては、議事の進行に従いまして、関係部課長より御説明申し上げますので、よろしく御審議のうえ、御可決くださいますようお願いいたします。

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